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3.タマゴがかえる前に

 さて、あとは、タマゴがかえるまで、待てばいいらしいとわかると、二人は、新しく出来た台所へダッシュした。とにかくお腹がすいていたのである。昨日の飲み会から、何も口にしていない。

 うれしいことに、水道コンロ(しかもIH!)冷蔵庫(中身つき)オーブンレンジ完備。どこから電力取ってるかなんてことは、気にせずに、早速この世界最初の食事を作り始めた。


「ふ〜ん、以外に上手いんだな」


「うちは共働きだったから、小学生からやってるの」


「へ〜、一人暮らし暦3年の俺とは違うな」


 そう言いながらも、聡もさくっと簡単な一品を作っている。


「あれ、手際いいじゃん。あ、お皿とってくれる?」


「ほい」


 受け取ろうと手を出すが、皿がその手前で止まっている。みさとはいぶかしげに聡を見た。


「?なに?」


「…いや、新婚みたいだな〜と」


 ぼそっとつぶやいた聡の目の前で、みさとがボンッと真っ赤になった。


「うわ…」


「な、なに言ってんのよ! 早くお皿!!」


 みさとは、聡からお皿をひったくると、出来上がったオムレツを盛り付ける。ケチャップ、ケチャップと聡を避けるように冷蔵庫へと向かうみさとを見つめる聡。

 頭をがりがりかきながら、やばいなぁとつぶやく聡の声は、みさとには聞こえていなかった。


 ぎこちなさも、食事が終わる頃にはなくなり、手分けして、後片付けをした後は、家の中の探検である。

 タマゴのある部屋は、ソファーとテーブルのあるリビングになっていた。リビングには玄関以外に3つドアがある。一つは、台所。いわゆるダイニングキッチンで、こじんまりとしているが、使いやすそうだ。

 リビングの奥の扉の奥は、廊下で、洗面所とトイレに通じている。台所からも通り抜けられるようになっていた。


「お宅訪問みたい〜」


 と言いながら、台所の反対側の扉を開けて、みさとと聡は固まった。


 そこには、キングサイズのベッドが置かれている。つまり、夫婦の寝室なのだった。


「…あ〜、俺はソファーに寝るから」


「え、や、私のほうが小さいから、私が…」


「俺はキャンプにも慣れてるから、大丈夫」


「う、じゃ、じゃあ、お言葉に甘えて…」


 と、お互い目をそらしながら、話がまとまると、あわてて寝室の扉を閉め、玄関から外へと出る。



 家の外を、調べてわかったことは、家から5メートルほどしか行けないという事。それ以上は、見えない壁があるようで、進めないのだ。

 そして、もう一つ気付いたのは、生き物がいないということ。泣き声も動く音もしない。存在するのは、植物だけだ。家の横の小さな池にも魚一匹いなかった。


「タマゴがかえったら、変化するのかな?」


「成長と家の拡大がリンクしてるくらいだ。考えられるな」


「ふ〜ん、早くかえらないかなぁ」


「じゃ、愛情注ぎに帰るとするか」


「…なんかヤラシイ言い方」


「気のせいだ」


 

 なんのかんの言いながらも、二人は仲良く(?)タマゴの待つ家に入っていくのだった。





《シン》

2人とも楽しそう!早く会いたいな♪

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