7.森のどうぶつ
神の森には、動物達が沢山いる。普通の動物達の他に、霊獣や聖獣がいるのが、特徴だ。
霊獣は、動物と言うよりは、どちらかと言うと精霊に近い。ドラゴンやユニコーンなど、地球で言うところの想像上の生物だ。出所は、聡のゲーム知識だとみさとはにらんでいた。
それに対して、聖獣は、神であるシンから直接名前をもらった特別な存在である。もとからの身体や能力が格段に向上し、寿命もほぼ無限。まさしく神の僕である。白犬のレンがこれにあたる。もとは霊獣の白竜のブランや火の鳥のひ~ちゃんもそうだ。
そんな数多いる動物たちが敬愛するのは、創造主のシンであるのは当然だが、実はシンと同じくらい愛されている人物が2人いる。聡とみさとである。
たとえば、ユニコーン。清らかな乙女にしか触れることを許さない彼らであるが、シンには頭をたれる。すりすりもする。小さな女の子達にも許す。
そんな彼らが、初めてシンに挨拶に来たとき、聡とみさとに自ら近づいてきたのだ。
「え、あの、あたし、子ども産んでるよ?」
「…おれ、男だけど」
ユニコーンたちに囲まれて、すりすりされながら戸惑う2人に、ユニコーンたちは説明した。
「おとうさまとおかあさまは、おとうさまとおかあさまですから。いいんです」と。
いいのか、それで。
いまいち納得できないが、うっとりとしたユニコーンたちに懐かれるのは、満更でもなかった。
白竜のブランは、ある日家の前にポツンとおかれた玉子の形でやって来た。
うわー、懐かしい~。シンはこうやって暖めたんだよ~と聡とみさとが玉子を間にソファーに座っていたら、ピキピキとひびが入り、ポンと小さな竜が生まれてしまったのだ。
「シンちゃん、生まれちゃった!」
あたふたする聡とみさとからシンが白竜を抱き上げると、いやがりはしないが聡とみさとの元に帰りたそうにした。
「あれ?おとうさまとおかあさまがいいの?」
白竜がピュイ~とうなずいた。
「わかった。君の名前は、ブランにしよう。おとうさまとおかあさまを守ってね」
ブランはうれしそうに尻尾をふると、ひときわ大きく鳴き声を上げた。
以来、ブランはおとうさまとおかあさまのあとをついて回っている。本当は、家より大きい癖に、生まれた時と同じ大きさになっては抱っこをねだっている始末。鳴き声がかわいいと言われれば、喋れるのにピュイピュイ鳴いている。
「外に出れば、威厳ある聖獣なのに~」
「ブランは本当におとうさまとおかあさまが好きだよね」
家族全員にあきれられても、全く気にしないブランだった。
その他にも、子供がうまれるたびに見せに来る鴨とか狐とか、お腹見せちゃう狼のボスとかハチミツくれる熊とか数えたらきりがないほどだ。
そして、そんな動物たちのまとめ役である聖獣レンは――。
おとうさまとおかあさまにナデナテしてもらうのが大好き。
さすがに動物達を統べている自負があるのか、やって来るのは他に誰もいない時。
こそこそっとやって来て、足元に座り込み、こてんと首をかしげておねだりする姿は、思わず両手をほっぺたにやるほど、可愛らしい。
まず理性を放棄したみさとが抱きつき、もふもふを堪能。その後聡がしっかりとワシワシし、マッサージを仕上げるのだ。あまりの気持ち良さにそのまま寝てしまうこともしばしば。
おとうさまとおかあさまの前では、聖獣レンも仔犬に戻ってしまうのだった。
おとうさまとおかあさまは、今日も動物達のお相手で忙しい。
おとうさまとおかあさまは 神の手を 使った!




