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5.ビバ☆ガールズトーク

 久々に、温泉に行ったときのこと。


 最初小さな山小屋風だった別荘も、家族の増えた今では、ちょっとしたホテルのよう。4世代がそろって訪れても、全く問題ない。神とその親族、さらには、精霊王までもがちょくちょく来るので、この地の精霊は、上位精霊が多い。彼らは別荘の管理人を自任していて、滞在中はメイドか執事のようにお世話をしてくれる。(このあたり聡のゲーム知識の影響ではないかと、みさとは疑っていた)

 ともあれ、心配りの効いたおもてなしは、非常に心地よいので、皆はこの別荘生活を楽しんでいた。


 夕食も終え、小さな子どもたちも眠ったので、女性陣は、露天風呂へと繰り出した。

 もちろん、アカギに釘をさすことも忘れない。


「シン、アカギのこと見張っててね」


「お母さま、いい加減忘れてよ~」


「忘れません!」


 笑顔できっぱり言い切るみさとに、アカギは肩を落とした。孫、ひ孫の世代は何のことかわからず、首をひねっている。

 後で教えちゃおっと。みさとはうふふと笑った。


 露天風呂の湯槽も、倍近くに広くなっている。10人からの女性達が入っても余裕がある。

 みさとは、湯槽の縁に背を預け、体を伸ばした。思わず、はぁ、と声が出る。


「やっぱり温泉は、いいわぁ」


「お肌もすべすべになりますものね」


「旦那さまにも好評ですのよ」


「あら、さすが新婚さん」


 孫、ひ孫世代がきゃっきゃうふふと楽しげにはしゃいでいる。


「わたくし、こうやって神族のみなさまといることが時々信じられない時がありますの」


 一番若い嫁がポツリと言った。


「ごめんなさいね~、うちのバカ息子がいきなり連れてきちゃたから」


「何度聞いても情熱的!」


「うらやましいわぁ、うちなんて神官だったから幼なじみみたいで、なんとなくこうなっちゃったのよね~」


「え、そうだったの、お母さん」


「あら、私は反対に巫女で…」


 いつの間にやら、なれそめの発表会になってきた。その全てを知っているみさとは、ニコニコとみんなの顔を見ている。


「お父さまとお母さまのなれそめは?」


 急にふられて、みさとはきょとんとした。


「私も知りたいわ。一緒に働いてたとしか聞いてないし」


 リンも興味津々で、みさとに迫ってくる。みさとは何とかかわそうとしたが、10人以上に囲まれては、逃れられなかった。


「えぇ~と、おんなじ職場だったのよ。聡が2年先輩で、新人の私の先生役だったわ」


「ま、ステキ。師弟関係でしたのね」


 恋愛小説愛好家の孫嫁がうっとりしている。


「すぐにお付き合いされたんですか?」


「え?ううん。全く。あくまでも仕事上の付き合いだけ」


「え?それじゃあ…」


「こっち来てシンの親になるまで、そういう目で見たことなかったわぁ。親になっても夫婦になるつもりなかったし」


「「「「えええぇ~!」」」」


 全員が信じられないといった顔をしていた。だって、あの・・お父さまとお母さまがである。夫婦になって早百年。ひ孫もいるのに、いまだに万年新婚と言われるいちゃコラ具合なのに。


「あの時はねぇ~。いつまでたってもシンのタマゴがかえらなかったから、こまったのよ。色々調べたらさ~、タマゴの成長には夫婦の愛も必要だから、愛し合うようにって。そんなこと急に言われてもねぇ?」


 みさとが思い出したように、眉をしかめた。

 娘のリンは衝撃で何も言えそうにないので、隣にいた息子の嫁が続きをうながした。


「それで、どうしたんですか?」


「う~ん、あたしじゃイヤでしょって言ったら、みさとがいいって言われてね~。まあ、あたしも仕事の頃からずっとフォローしてもらってたし、うん、まあ、ほだされたって言うか…、イヤじゃないって言っちゃったんだよね~」


 みんなから目線をはずし、ほんのり頬を染めるみさとに、全員が脱力した。



 お父さまとお母さまの愛に勝つものはいない。






お母さまは 無敵の愛 を披露した!

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