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21.神様の両親になりました

最終話です。

 あれからどれ位たったのだろうか。


 みさとは窓から外で遊ぶ子ども達を見ながら、ふと思った。下は0歳児から上は15歳くらいまで、10人以上の黒髪の子ども達が、にぎやかに笑い声を上げている。

 その周りには、精霊王達や聖獣達がいて、危なくないように見守っていた。小さな精霊たちも集まっているので、庭はにぎやかなことこの上ない。


 黒髪の子ども達は、みさとと聡の血を引くものたちだ。孫やひ孫、もっと遠い子孫もいる。

 みさとと聡は、シンを含めて8人の子に恵まれた。子ども達は、成人のときに神の森を出て人間として生きていくか、このままシンの家族として生きるかを決める。

 人間として生きることを選んだ聡とみさとの子が、神の森に隣接する神殿の神官となり、今に至る。その子孫が時折こうして顔を出すのだ。


 神の家族として残ったものも、シンと一緒に世界を見て回る中で、伴侶を見つけ、家族に迎えられていった。こうして、シンの家族は少しずつ増えていったのだ。


 リンはシンの妻になった。成神した時点で、外見の年齢を自由に変化できるとわかり、シンはリンより3歳ほど上の年齢をとるようになった。お兄ちゃんとしてかいがいしくお世話をする。その後生まれた弟妹達にも、優しいことは優しかったが、何かが違うとみさとは思っていた。

 聡と二人でもしかして、と思っていたが、リンの成人直前に結婚の許可を取りにきたシンとリンの姿に、やっぱりと顔を見合わせたのは、いい思い出だ。


 みさとは、くすっと笑って精霊王達に目を移した。

 彼らもシンの成神に伴い、外見年齢を自由に変えられるようになった。それぞれ楽な年齢があるようだ。

 アカギとアオイは10代後半になった。猪突猛進のアカギらしい姿だ。恥ずかしがり屋のアオイも少女の姿が似合っている。

 生真面目なミドゥーリは、壮年の姿をとった。思わずメガネを掛けさせたくなったのは、秘密。

 チャイは大地母神らしく、30代の落ち着いた女性になった。みさとと聡も頼りたくなる「お母さん」だ。


 クロウドとキンシャは、成人したときの20代後半を保ったままだ。ただ、年を重ねるごとに、神秘性が増していっていた。

 もともと学究肌だったクロウドは、更に知識を増やしていっている。いまやあのマニュアルは、クロウド所有のようなものだ。「賢者」みたいだと聡が言うのを聞いて、聡のゲーム知識の影響なんじゃないかと、みさとは怪しんでいる。

 キンシャは、そんなクロウドに協調するように物静かになった。光と闇は対だからと言う聡に、やっぱりこいつのせいだと思うみさとであった。


「子どものときは、アカギに負けないくらいにぎやかだったのにねぇ」


 みさとは苦笑した。クロウドの隣で微笑をたたえているキンシャを、年長の男の子達が憧れの眼差しで見ていた。



「何を見ている?」


 神官との話し合いが終わった聡が、みさとの肩を抱いた。


「みんなを見ていたの、にぎやかでしょ?」


「増えたもんなぁ。最初は、俺とおまえとシンだけだったのに」


「ふふ、いきなり神様の両親になれだなんて、あの時はとまどったわ」


「まあな、お、シンが帰ってきたぞ」


 レイと共に空から降りてくるシンに向かって手をふる。シンはうれしそうに両親に手を振り替えすと、妻子のもとへ駆けていった。



 それを見て聡とみさとは笑いあう。


「まあ、なんだ。神様の両親になれて、俺はよかったよ」


「私もよ」


 聡がみさとの肩にまわした手に力をこめると、みさとは、そっと身体を預ける。

 目の前の庭は、2人の家族でいっぱいだ。



 神様の両親は、今日も幸せの中にいる。

《シン》

父様と母様、妻や子供、家族に囲まれて幸せです。

僕たちの話にお付き合いくださいまして、ありがとうございました。

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