19.リンちゃんといっしょ
妹のリンちゃんのお話なので、文体が童話調です。
リンちゃんは、1歳7ヶ月の女の子です。大分歩けるようになり、転ぶことも少なくなりました。この前は、ちょっと小走りしてみたら、みんなからものすごく褒められて、ちょっといい気分になりました。
リンちゃんの家族は、お父さんとお母さんとお兄ちゃんです。お父さんは、よくお母さんにくっついては、怒られています。お兄ちゃんいわく、「らぶらぶ」なんだそうです。リンちゃんは「らぶらぶ」の意味が、よくわかりませんが、お兄ちゃんが笑ってるので、いいことなんだと思いました。
シンお兄ちゃんは、リンちゃんをとてもかわいがってくれます。お散歩の時には、いつでも手を繋いでくれるのです。時々一人で、お散歩に出ちゃうのは、悲しいけど、帰ってきたら、またリンちゃんと遊んでくれるので、リンちゃんは、動物達と遊んで待っています。
シンお兄ちゃん以外にも、大きなお兄ちゃんとお姉ちゃん達がいます。「せいれいおう」と言うのだと、教わりましたが、リンちゃんにはまだよくわかりません。とりあえず、遊んでくれる人たちです。
アカくんは、よく身体を使って遊んでくれます。時々、本気になりすぎて、リンちゃんを泣かせてしまいます。そんな時になぐさめてくれるのは、アオちゃんとチャーちゃんです。チャーちゃんのお胸に抱かれて、アオちゃんの歌を聞くと、涙が引っ込みます。その横でアカくんは、ミドリくんに怒られているのです。
キンちゃんとクロくんは、リンちゃんに色々なことを教えてくれます。リンちゃんは、何か聞きたいことがあると、キンちゃんとクロくんの元に行くのです。
おうちの中には、小さいお友達もいました。リンちゃんの頭くらいの大きさで、何をするでもなく、ふわふわと漂っています。リンちゃんにとっては、ちょうどいい遊び相手です。「せーれーさん」と呼んでいます。
動物達も、いっぱいいます。森のリスやウサギ、狐などがひょこひょこ遊びにきますし、そのまま住み着いているものもいます。シンお兄ちゃんがひろってきたものもいます。動物達をまとめているのが、白い大きな犬のレンです。真っ白な毛は光に透けると銀色に輝きます。お父さんが乗っても大丈夫なくらい大きいです。リンちゃんもよく背中に乗っけてもらいます。
「私はシン様のしもべです」と言っていますが、リンちゃんはもちろんわからないので、レンはシンお兄ちゃんのなんだと理解しました。
真っ赤なきれいな鳥もいます。この前までおうちの中にいましたが、大きくなってきたので、お庭に移りました。危ないからリンちゃんは近づいちゃダメと言われましたが、遊びたかったので大声を出してみたら、真っ赤な鳥は驚いて目の前で火を噴きました。以来リンちゃんは、真っ赤な鳥、ひ~ちゃんに近づきません。
ひーちゃんもシンお兄ちゃんのものです。リンちゃんは、シンお兄ちゃんスゴイと思いました。
クロちゃんにそう言うと、「シン様は神様ですから。成神なされば、もっとすごくなります」と、教えてくれました。これ以上すごいなんて、リンちゃんにはわかりません。
キンちゃんに「お兄様であることには、かわりありませんよ」といわれて、安心したリンちゃんなのでした。
さて、この頃、お父さんとお母さんがよく相談しています。リンちゃんがわからないと思って、大事なことを話しているようです。(実際よくわからないのですが)
でも、会話の中に「リンちゃんはどうなるの」とか、「リンは置いていけない」とか、リンちゃんの名前が出るので、リンちゃんも気になります。
リンちゃんには手の届かない、大きな本を見て、何度も話してるのです。
今日は、お母さんが一人で大きな本を見て、ため息をついています。リンちゃんが見ているのに気付いて、抱っこしてくれました。
「手放せるわけないのに」
そう言ってリンちゃんをぎゅっとします。
「おやつ作ろうか」
リンちゃんをおろしたお母さんはにっこり笑って、リンちゃんの手をとります。リンちゃんは、お母さんが楽しそうなので、うれしくなりました。
そんなお母さんとリンちゃんを、こっそりお父さんが見ていました。お父さんも晴れ晴れとした顔をしています。
シンお兄ちゃんが成神する、ちょっと前のお話です。
《シン》
リンちゃんはみんなの癒しなんだ。