15.温泉にいこう!
聡とみさとがこの世界に来てから、約2年。シンは見た目15歳くらい、リンは1歳半になった。精霊王達などは、すっかり聡とみさとと同年代、下手したら年上なくらいになっている。
この前、聡がクロウドと話していたら、ほぼ成人だと言われた。シンが成人する日も近いのだろう。
世界の広がりも、ほぼ落ち着いたようだ。最初のうちは、テレビに映らなかった地域も、シンの成長と共に、一つまた一つと映るようになり、今では、すべての地域を見ることが出来る。
生物の種類も劇的に増えている。基本聡とみさとの知識を基にしてるらしく、地球の生物と大差ないが、空想上の生物も混じってしまったようで、ドラゴンやら、ペガサスもどきが見受けられる。
なんだかな~と思っていた聡とみさとだが、シンはかっこいいと喜んでるし、精霊王達も当然のこととして受け入れているので、こだわらないことにした。
ここは地球じゃなくて、シンの世界なんだから。
そんなある日、テレビに映った湯煙にみさとが反応した。
「そこ!ミドリくん、拡大して!!」
みさとの勢いに、ミドゥーリがあわてて画面を操作する。拡大された画面にみさとはかじりついた。
「きゃ~、やっぱりぃ~!温泉よ、お・ん・せ・ん!!」
みさとのはしゃぎっぷりに、シンと精霊王達はビックリしている。聡は苦笑していたが、やっぱりちょっと嬉しそうだ。。
「あの…、母さま、おんせんって何ですか?」
シンの問いに、みさとはにっこり応える。
「みんなは知らないのよね。温泉ていうのはね、自然に出来たお風呂なのよ。ね、聡」
「まあ、ずい分大雑把だが、あってる。地面の中の水が、火山や地熱に温められたものが、湧き出したと思えばいい」
「いろんな効果があるのよ~。お肌にいいとか~、疲労回復とか~」
女の子グループが「お肌にいい」に反応した。
「お母様、是非行きましょう!」
「もちろん!」
女子4人が、タッグを組んだ。男子は、何も言わずに出かける仕度を始めるのだった。
「じゃあ、行ってくるね。明日帰ってくるから、留守を頼んだよ、レン」
「おまかせを、シン様」
シンが留守をりっぱな白い犬に頼んだ。シンがおねだりして飼うことになった仔犬は、シンの僕となり、人語を話す聖獣になったのだ。
聡とみさととシンとリンは、やはり聖獣のドラゴンに乗り込み、温泉へと出発する。精霊王達は、ドラゴンと共に飛んでいく。
空の上から見ると、森に中の家が小さく見える。いや、世界が大きくなったのかと、聡は微笑む。息子と一緒に大きくなった世界は、聡にとって、息子と同じだ。近いうちに答えを出さなければならないことを考えながら、聡は、どこまでも続く、この世界を見つめた。
温泉旅行は、とても楽しかった。
男女に分かれて、温泉を堪能し、キャンプを楽しむ。もちろん、のぞいたのぞかないのお決まりの騒動もあった。
星空の下、シンがはった結界の中でした雑魚寝を、皆が気に入り、また来ようと、笑いあう。
翌朝、ツルツルのお肌になった女性陣は、リンまでもが、もう一度入ると言い出すほど、この温泉をお気に召したようだ。
そんなに気に入ったのなら、別荘作ろうかと話がもりあがり、シンと精霊王達があっという間に、作ってしまった。
神であるシンの家族や精霊王達がちょこちょこ来るので、「秘湯神の湯」として、ここが知られるようになるのは、もうちょっと後のお話。
《シン》
はぁ、温泉って気持ちいいですね~。にしても、温泉をのぞいたのぞかないと言う騒ぎはどうにかしてほしいですね。アカギとキンシャはどっちもひかなくて困りました。最終的にクロウドが治めたけど、結局一番見てたのってクロウドじゃ…?