10.魔の2歳児
やっとシンを寝かしつけ、聡とみさとは、ベッドに倒れこんだ。このところ、毎晩こうだ。
話せるようになったシンは、自分の思うようにならないと、癇癪を起こすのだ。
パターン1
聡やみさと、精霊王達が仕事をしていると、ボクもやるとごねる
↓
仕方がないのでやらせてみるが、いかんせん2歳児では、うまく出来ない
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癇癪を起こして泣く
↓
なだめるのに小一時間かかる
パターン2
聡やみさと、精霊王達のすることすべてがイヤ
↓
何とか話してわからせようとするが、イヤなものはイヤ
↓
そのうち怒られるハメに
↓
癇癪を起こして泣く
↓
なだめるのに小一時間かかる
これが、一日のうちに何回もある。体力的にも精神的にも、疲れている二人であった。
「世のお母さん達ってさ~、すごいよね~。これが年単位で続くんでしょ?」
ベッドの上でゴロゴロしながらみさとが、つぶやく。
「だな。お袋に感謝だ」
「魔の2歳児って言葉があるんだよ。従姉のお姉ちゃんが言ってた」
「魔の…。言いえて妙だな~」
「寝顔は天使なんだけどねぇ」
みさとは、さっき寝かしつけたシンの顔を思い出して、微笑む。それを見て、聡も表情を緩めた。
「でもねぇ、きっと私は楽してるんだと思うんだ。聡は、日中もいるし、アオちゃんたちも手伝ってくれてるし。従姉のお姉ちゃんなんか、日中一人でてんてこ舞いだったもん」
「俺は遊んで風呂入れてるだけだよ」
「それが助かってるの」
「ふ~ん、そっか。じゃ、次からもそうするか」
「うん、そうして…?次?」
首を傾げるみさとを聡が引き寄せる。
「それより、シンの成長のためにも愛し合おうじゃないか」
「ちょっと!シンちゃん達の前でそれ言わないでよね」
「ん~、両親がラブラブだってわかっていいと思うんだけど」
「あんたには、羞恥心はないの?!」
「みさと限定で無い」
「…はあ、会社では真面目な人だったのに…」
「あれは、仕事用。家族の前で仕事モードになる必要ないでしょ。みさとだって口調変わってるし」
「そういえばそうか。でもねぇ?」
「はい、もうお終い」
そう言って聡は、とても親密な方法でみさとの口をふさいだのだった。
《シン》
何でできないの~