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1.おめでとうございます!

もう一本の連載が、シリアスなので、軽~い話が書きたくなってしまいました。

 結城 さとし(25歳)と相田 みさと(23歳)は、同じ会社の同じ部署に勤めている。いわゆる、先輩後輩だ。後輩としてかわいがり、先輩として尊敬する、いたって、普通の間柄である。

 そんな二人は、部署内では下っ端なので、会議室での部署の打ち上げの途中で、足りなくなったお酒を買出しに行く役目をふられることになった。

 お酒が入っているので、いつもより、はじけていることは否めない。


「も~、最初っからもっと買っておけばよかったのにぃ~」


 頬をピンク色に染めたみさとが愚痴れば、聡もうなずく。エレベーターの中なので、言いたい放題だ。


「読みがあまいよなぁ}


「ですよね~」


 チーンと音がして、1階に着き扉が開く。

 二人は、話を続けたまま足を踏み出し、停まった。


 ビルのエントランスに出るはずが、そこはマイナスイオンあふれまくった森の中。目の前には、石造りの建物。


 あんぐりと口をあけて固まった二人を現実に引き戻したのは、背後でしまるドアの音。

 がばっと後ろを振り向いても、森の木があるだけ。エレベーターのかけらも見当たらない。


「ぎゃぁああ!!どあ、ドアがない!エレベーターがぁああ!?」


「あ、相田、少し落ち着け。そして俺のネクタイを引っ張るな!首がしまる!」


 聡が、パニックになっているみさとをネクタイから引き剥がした。


「だって、だってぇ!何で結城さんそんなに冷静なんですか!?」


「先にパニック起こされると以外に冷静になるもんだな」


「なにそれ~」


 ミサとは半べそだ。


「それにだ。どうやら俺たちは歓迎されてるらしい」


「え?」


 聡の指差すほうをみると、そこは、小さいながらも神聖な感じの石造りの建物。その入口には、「Welcome!」と、垂れ幕が下がっていた。

 なんだろう、この残念な感じは。みさとは、ひくりと口元をひきつらせた。


 いつまでも、ここにいても仕方がないということで、建物の中に入ることにした。聡が先に立ち、みさとはその後ろにくっついていく。

 ドアを開けた中には、1メートルほどの台座が一つあるだけだった。台座の上にはクッションが置かれ、その上にあるのは―。


「「タマゴ?」」


 人の頭ほどの大きさの、真っ白なタマゴだった。


「何のタマゴだろうこれ?」


「この大きさはダチョウか?」


「ダチョウのタマゴ、飾る?」


 タマゴの前まで行って、しげしげと観察していると、きゅうにタマゴに吸い寄せられた。


「うわっ」


「ひえっ」


 両手がぴたっとタマゴに張り付いたと同時に、ファンファーレが鳴り響く。

 タマゴが光り、ぐるぐる回り始めた。時々ぴょこぴょこ跳ねてもいる。


「なにこれ~!?」


 二人は、あわてて一歩下がった。上からひらひらと落ちてくる一枚の紙に聡が気付き、手にとる。


「え~と、なになに? おめでとうございます。お二人は、この新世界の神の両親として選ばれました。がんばって、神を一人前に育ててください。なお、詳しいことは、育神マニュアル参照のこ…と…」


 そこまで読んだ聡は、みさとと目を合わせた。


「「うそだ~!!!」」


 二人の叫びが、森にむなしく響いた。

 

《神様のタマゴ》

やった!お父さんとお母さんができた!

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