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スマホ転移で始める異世界ゆるゆる生活 ~日本の商品が高値で売れたのでスローライフを目指すことにしました~  作者: 出雲大吉
第1章

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第007話 ぐーるぐる


 俺達が乗る馬車は町に入る。

 町はビルのような高い建物が一つもないが、結構、大きい町のようで賑わっていた。

 通り過ぎる人を見ても、明らかに日本の光景とは違う感じだ。


 そうやって異世界の町中を見ていると、馬車がある建物の前に止まった。


「んー? 着いた?」


 商人のおっさんに聞く。


「ああ。旦那がうるせーから宿屋まで来たぞ。ここは安いし、値段の割に良いところだからおすすめですぜ」


 おー!

 わざわざ宿屋まで送ってくれたらしい。


「あんがとよー」

「まあ、どうせ通り道だしな。旦那、ありがとよ。ちょっと息子と話してみる」

「こっちも馬車に乗せてもらえて助かったよ。しかも、色々と教えてもらったしなー。感謝する」


 俺と商人のおっさんはお互いにお礼を言い合う。


「いいってことよ。俺は当分、この町のゲルド商会の支店にいることにした。何かあったら訪ねてこい。金は貸さんが、相談くらいには乗ってやる」

「ゲルド商会?」

「エスタに本店がある商会だよ。俺の名前がゲルドなんだ」


 そういえば、アンナが言ってたな。

 というか、おっさんとも自己紹介をしてないわ。


「なるほどー。あ、俺はリヒトね」

「聞いてたよ。まあ、お茶くらいは出してやるよ」

「酒を出せ」


 接待はそういうものだ。


「旦那、図々しいな……まあ、いいか。じゃあ、俺らは行くぜ」

「ああ、お前らも世話になった。フィリア、あとでな」

「うん。リヒトさんもゆっくり休んでね」


 この子は良い子だわー。

 可愛いし、優しい。

 本当に好きになりそう。


「じゃあな。お前の占いが外れたら殴りに行くから」


 アンナはすぐに暴力に走るのがよくない。


「殴るのはやめろ。上手くやれよ」

「はいよー」


 アンナとの別れが済んだのでミケを見る。

 そして、両腕を広げる。


「何してんの? 飛びつかないよ?」


 ミケはプイッと顔を逸らす。

 この子はもう好き。


「猫ちゃんは本当に猫ちゃんだなー。まあいいか。気を付けてな」

「リヒトに心配されたくないけど、まあ、気を付ける」


 ツンデレ猫。


「拾い食いするなよー。拾い食いすると、お腹を壊すと出てる」

「拾い食いしねーよ! ってか、そんなもんは占わなくてもわかるわ!」


 猫ちゃんは本当に可愛いな。


「まあいいや。じゃあ、元気でなー。俺は寝る」

「鍛えな」


 皆に手を振ると、ミケ以外は手を振り返してくれた。

 そして、馬車が動き出し、奥に行ってしまったので宿屋に入る。

 すると、受付らしきところに若い茶髪の女の子が暇そうに座っていた。


「こんにちはー」


 挨拶をしながら近づくと、茶髪の子が俺に気付き、立ち上がった。


「あ、いらっしゃいませー。お食事ですか? お泊まりですか?」


 そう言われたので奥を覗くと、奥が食堂になっていた。


「食堂もあるのかー。まあいいや。泊まりでー」

「はーい。何泊です?」


 この子は笑顔が可愛いな。

 歳は10代半ばくらいだと思う。


「1泊いくら?」

「2食の食事付きで銀貨4枚。素泊まりで3枚です。素泊まりでも食堂で食べられますよ。別料金ですけど」


 そりゃそうだ。


「とりあえず、素泊まりでいいかな。3泊でお願い」

「はーい。えーっと、銀貨9枚ですね」


 そう言われたので道中で儲けた金貨を取り出し、カウンターに置く。


「ありがとうございまーす。銀貨1枚のお返しでーす」


 茶髪の子はおつりの銀貨をカウンターに置いた。


「その銀貨は取っておくといい。チップだよ」

「え? いいの!?」

「いいよ、いいよ。その代わり、君の名前を教えて」

「私の名前? サラだけど?」


 この子の名前はサラね。


「サラ、俺はリヒトと言う。よろしく」

「あ、はい。よろしくです」


 サラがぺこりと頭を下げる。


「サラ、俺は長旅で疲れているので、今から泥のように寝る。多分、2日は寝てるので、放っておいて」

「わかりましたー! お食事もいいです? お水とか持っていきますけど?」

「とりあえずいいや。まずは寝る」


 多分、来られてもいないしね。


「かしこまりましたー。部屋は上です。一番奥の部屋が空いてますので、そこでお願いします。鍵は内鍵だけですので出かける際は貴重品等を気を付けてください」


 外鍵はないのか。

 まあ、内鍵があるだけでよしとしよう。


「ありがと。おやすみー」

「おやすみなさーい」


 受付横にある階段を上り、廊下を進んでいくと、一番奥の部屋に入る。

 部屋は6畳くらいの部屋であり、ベッドと机があった。


「シンプルだな。まあ、文明レベルを考えると、十分か」


 ドアを閉め、内鍵をかけると、ベッドに腰かけた。

 そして、スマホを取り出し、電源を付ける。


「電池は……残り22パーセントね。さて、アプリを起動してみるか」


 とっくの前に24時間は経っているが、ここまで使わなかった。

 ようやく一人になる時が来たのでアプリを使ってみようと思ったのだ。


「どうなるかはわからないが、不吉な気配はない」


 アプリをタップし、起動する。

 すると、以前と同じようにスマホ画面がぐるぐると回る謎の動画が始まった。


「やっぱ気持ち悪っ!」


 直後、俺の目の前が光に包まれ、何も見えなくなった。


お読み頂き、ありがとうございます。

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