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スマホ転移で始める異世界ゆるゆる生活 ~日本の商品が高値で売れたのでスローライフを目指すことにしました~  作者: 出雲大吉
第1章

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10/50

第010話 あ、マタタビを買えば良かった


「よっしゃ、行くぜ」


 時計を一度見ると、アプリを起動した。

 すると、アプリのカウントダウンは残り40秒だった。


「さて、40秒を待ってみるか……」


 スマホの画面をじーっと見つめる。


「…………5、4、3、2、1」


 カウントダウンが終わった瞬間、スマホ画面がぐるぐると回る謎の動画に変わった。

 直後、俺の目の前が光に包まれ、何も見えなくなった。

 そして、気が付くと、狭い部屋の一室にワープしていた。

 ここは俺が昨日、借りた部屋である。


「よし! 予想通りだ」


 軽くガッツポーズをすると、部屋を出て、階段を下りる。


「あ、お客さん、起きたの?」


 階段を下りると、受付にいる昨日見た女の子が声をかけてきた。


「おはよう、サラ」

「うん、おはようございます」


 可愛い子だねー。


「サラ、晩御飯はいくら?」

「えっと、ものによる。日替わり定食だったら銅貨8枚」


 800円か。

 そんなものかもしれないな。


「今日は食堂で食べようかな」

「まいどでーす。夕方からだったらいつでもいいですよー」


 この世界って、時計とか時間ってどうなってんだろ?


「サラ、冒険者ギルドがどこかわかる?」

「知ってるよー。あ、リヒトさんって冒険者なんですか?」


 まだ無職だよー。


「まあ、そうだな。実は他にもやってるんだが、そう思ってくれて構わない」

「やっぱりかー。あ、冒険者ギルドはここを出て、右にまっすぐ行けば着きますよー」


 おー、わかりやすい。


「ありがとう。お礼にこれをあげよう」


 ポケットから飴を取り出した。


「何ですか、これ?」

「砂糖菓子かな」

「へー、砂糖なんて珍しいですねー」


 砂糖は珍しいらしい。

 売れるかな?


「はい、あーん」


 飴を袋から取り出し、口を開けるように促した。


「あーん」


 サラが素直に口を開けたので、口の中に飴を放り込む。


「もごもご…………わぁ……! 甘くて美味しいですー!」


 サラは幸せそうに頬を緩ませる。


「そうか、そうか。またあげるからねー。じゃあ行ってくる」

「いってらっしゃーい!」


 サラの好感度がグーンと上がった気がする。

 だが、多少、変質者っぽいやり取りだった気がするのは気のせいかな?

 まあ、誰も見てないし、別にいいか。


 宿屋を出ると、サラに言われた通り、右にまっすぐ歩いていく。

 やはり通りすぎる人もかなりおり、アンナがこの町をそこそこ大きな町って言っていたのも頷けた。


 そのまままっすぐ歩いていると、突き当たりに剣のマークの看板がかかっている建物を見つけた。

 あれが冒険者ギルドだろうなーと思い、近づき、扉を開け、中に入る。

 中は広いホールみたいになっており、丸いテーブルが複数の椅子とセットになって置かれていた。


 最初は酒場と間違えたかなと思ったが、奥には受付があり、職員らしき何人かの男女が仕事をしていた。

 というか、職員しかいない。

 大丈夫か、ここ?


 受付に行こうと思い、近づくが、半分ぐらいの距離で立ち止まった。

 何故なら受付が2つあり、左は可愛らしい美人がニコニコとこちらを見ているのだ。

 一方で右は人相の悪い筋肉マッチョがヤンキーみたいに姿勢を崩し、こちらを見ているというか、睨んでいた。


 いや、左だ!

 絶対に美人がいる左だろ!

 右は絶対にない!


 そう思って、左に行こうとしたのだが、すぐにいやーな予感がしだした。


 えー……マジ?


 念のため、ベルトから鞘ごと剣を取り、床に立てた。

 そして、どーっちだと念を込めながら手を放す。

 すると、剣は俺の願いとは逆にガラの悪いマッチョの方向に倒れた。


 目をこすり、何度も確認するが、剣はどう見ても、ガラの悪いマッチョに倒れている。

 まさかーと思い、もう一度、剣を立てて、放した。

 しかし、やはり剣はガラ悪マッチョに倒れてしまう。


 マジかい……

 絶対に嫌だぞ。

 だが、ここまでやって、俺の占いが外れるわけがない。


 仕方がないと思い、剣を拾って腰に付けると、観念して、ガラ悪マッチョの方に行く。


「こんにちはー……」


 テンションダダ下がりで挨拶をする。


「おう! こんにちは! ここまで嫌な顔をして俺のところにくる野郎は初めてだぜ!」


 ガラ悪マッチョが大きな声で挨拶を返してきた。


「そんなことないですよー……」

「めっちゃ声が小せーし。で? 何の用だ? 登録か? 依頼か?」

「登録でーす」

「ふむ。じゃあ、これに必要事項を書け。文字は?」


 識字率が高くないんだろうな。


「書けるし、読めます」

「じゃあ、書け」


 紙を見て、必要事項を書いていく。


 えーっと、名前はリヒトっと。

 年齢は25歳。

 特技? 占いでいいだろ。

 除霊とか書いてもイミフだろうし。

 ふむふむ……こんなもんかな?


 必要事項を書き終え、ガラ悪マッチョに提出する。

 すると、ガラ悪マッチョはすぐにそれを読みだした。


「お前、25歳かよ。見えねー。ガキかと思ったわ」


 まあ、日本人は若く見えるらしいからな。

 この世界の男は皆、でかいし。

 商人のゲルドですら俺よりもでかく、筋肉質だった。


「25歳でーす」

「おい、占いってなんだ?」


 やはりそこが引っかかるらしい。


「さっきやってただろ」

「剣を倒してたやつか?」

「そうそう。俺はあっちの美人が良かったんだけど、あっちに行くと不幸が訪れるって出た」


 じゃなきゃ、お前のところなんて絶対に来ねーわ。


「ほーう……これは本物かな?」


 ガラ悪マッチョが手であごを触りながら目を細める。


「あっち行ったらどうなったん?」

「俺がお前を捕まえて奥に連行だ」

「ひえっ!」


 とっさにお尻を押さえた。


「いや、ちげーよ! 奥で話を聞くだけだよ!」


 それ、奥に行く必要ある?

 ないよね?


「いいから許可を出せ」


 尻は出さんぞ。


「ふーむ……リヒト? リヒト? あれ、どっかで聞いたな」


 俺、こっちに来たばっかで名前を全然、売ってませんけど?

 同名がいるんかな?


「ギルマス、ほら、アンナさんやミケさんが言っていた」


 奥にいる女性職員が助け舟を出す。

 どうやらアンナやミケが俺の事を事前に言っておいたらしい。

 良い奴らだ……って、ギルマス!?


「ギルマス?」

「そうだ……あー、思い出した! お前が例の詐欺師か! 確かに詐欺師っぽいし、胡散臭いわ!」


 アンナもミケも悪く言ったようだ。

 だから名前の中にフィリアがなかったのね……

 あの子は悪口を言わないだろうし。


「詐欺師じゃねーよ」

「占い師なんて似たようなもんだろ」


 すげーひどいことを言う。

 世界中の占い師に謝れ。


「おのれ……!」


 じーっと、ガラ悪マッチョを見る。

 すると、明日、市場に行くと金を落とすと出た。


「明日、市場に行くと良いことがあるぞー」

「絶対に嘘だな。明日は市場には行くつもりだったが、絶対に行かないことにする」


 チッ!

 余計なことを言ったようだ。


「もういいから許可を出せよー」

「まあ、待て……よし! では、テストをしよう」


 は?


「なんでだよ」

「お前、よそ者だろ? よそ者はテストする習わしなんだ」


 すげー嘘だし。

 俺を騙せると思ってんのか?


「嘘つけ」

「まあ、嘘だが、テストはする。テストは何かの依頼を1個やれ」


 うーん、めんどくさいが、冒険者のシステムを理解するには良いかもしれない。

 時間もあるし、急いでいるわけではないからな。


「依頼って? 外に出るのは嫌だぞ」

「お前、弱そうだし、そんなことはせん。うーん、何がいいかな?」


 ガラ悪マッチョが何かの書類を吟味しだした。


「そこの美人とデートって依頼はない?」


 あっちの受付に座っている美人の受付嬢を指差す。

 すると、受付嬢が笑顔で手を振ってくれた。

 もちろん、俺も手を振り返す。


「ねーよ。逆に金を取るわ……お前、占い師だったな。ちょうどいいのがあった」


 ガラ悪マッチョがそう言って、紙を渡してくる。


 そこに書かれていたのは猫を探してくれという依頼だった。


「……ウチの猫ちゃんなら東に行ったぞ?」

「ミケじゃねーよ。というか、お前のじゃねーよ」


 あっそ……


お読み頂き、ありがとうございます。

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