あくあ19歳『春から風の便り』 ジャンル:恋愛(ほっこり・まったり・静かな距離感) 雰囲気: 春から風の便り
この物語は、ごく普通に見える大学生の話 しかし、現実は、甘くはなく 仄々としたトーンでは、ないのかもね。20歳目前の第一話 からスタートの あくあ君 どうなるやら (笑)
春の夕方。 ONE LOVEの店先には、 ガラス越しに柔らかい光が差し込んでいた。
サラ(38)はラブの毛を整えながら、 入口に立つあくあを見て、ふっと目を細める。
「あら……あくあくん。そのスーツ、とても似合うわね。」
黒ぶち眼鏡の奥で、 あくあの目が少しだけ揺れた。
「みかが……選んでくれたんです。」
サラは優しく微笑む。
「いい子ね、みかちゃん。あなたのこと、ちゃんと見てるのよ。」
ラブ(♀5歳)が足元にすり寄り、 尻尾をふりふり。
そのとき、 店の奥から低い笑い声が聞こえた。
康太(38)がグラスを拭きながら出てくる。
「おーおー……あくあ、今日はずいぶんキメてるじゃねぇか。」
あくあは視線をそらす。
「……康太さん、からかわないでください。」
「いやいや、似合ってるって。みかちゃん、センス良すぎ。 ……で? 誰に見せに行くんだ?」
「ち、違いますよ……!」
サラはくすっと笑い、 そら(5歳)は肩の上でばたばた。
「あくあ……きらきら……!」
あくあは照れながらも、 どこか嬉しそうに視線を落とす。
その瞬間、 夕方の中庭での記憶がふっと蘇る。
——みかが紙袋を抱えて走ってきたあの瞬間。
「……あくあくん、これ……パーティあるでしょ。似合うと思って……」
「これ……買ったの?」
「うん。お小遣いで……」
そら(5歳)が「すごい……!」と目を輝かせたあの夕陽。
あくあはスーツの袖をそっと触る。
「……ありがとう、みか。」
春風がふわっと吹いて、 スーツの裾が揺れた。
その風の先で、 慶介と海斗が手を振ってくる。
「おーい、あくあー!……って、え?」(慶介) 「……似合ってる。みかちゃんだろ、選んだの。」(海斗)
あくあは黒ぶち眼鏡を押し上げる。
「……まあ、うん。」
そら(5歳)が肩の上で叫ぶ。
「あくあ……みか……すき……!」
「そら、言わなくていい……!」
慶介と海斗は吹き出す。
「ははっ! そら最高!」 「……あくあ、春だな。」
春の光が、 あくあの黒ぶち眼鏡にきらりと反射した。
そして—— 春の風は、静かに物語を動かし始める。
第一話 完
連載予告編(次回予告)
第二話:春の光、みかの横顔
みかの頬が赤くなる。 里香と実里がからかう。 あくあは言葉を探す。 そらは風を運ぶ。 そして—— 春の光の中で、 二人の距離がほんの少しだけ近づく。
次回、春から風の便り 「春の光、みかの横顔」
風は、まだ止まらない。
皆さんの中にも、こんな話もあったね。なんて 思えたりする話だったりするのかな?




