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遊頁譚  作者: 劉白雨


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第漆話 「恋の約束」


〔恋を失う時、世界は滅びる〕

 彼女はこの言葉の意味を求めて研究を続けていた。

 歴史的にも有名な石版の文言で、教科書にも載っている言葉である。

〔恋愛感情を失えば、人類は滅びる〕という意味で教えられ、人類初の人口増加政策を刻んだものとして、彼女も学校で学んだ。


 この石版は古代王朝の歴史書として知られたもので、一般的にはその三割程しか解読されていないといわれていた。

 それを彼女は、ここ数年の時間を掛けて独自に解読を試みてきた。

 この石版は全部で23枚あり、既にいくつか失われてしまったものもあったが、その内容は確かに歴史書であった。


 石版の書き出しは、王朝の成り立ち、王族の正当性から始まっていた。

 これまで解読出来ていたのはそこまでで、その先は解読が遅々として進まず、特に恋というものに関する記述の辺りは、ほとんど断片的であったのだ。


 だからこそ、歴史学者となった彼女にとって、歴史の一頁に刻まれたこの石版の言葉、〔恋を失う時、世界は滅びる〕の意味が、どうしても腑に落ちなかったのだ。

「一体何を記述したかったのだろうか。なぜ、歴史書に恋の記述が必要だったのか。」

 彼女はずっとおかしいと感じていたのだ。

 もし、学者たちが言うように、出産奨励を記述したかったのなら、なぜ恋という言葉を使ったのか。愛や結婚、男女、性交といった直接的な表現でも良かったはずである。それを使わなかった理由は何なのか。

 彼女はその答えを求め、解読に挑んでいたのだ。


 しかし、その解読は困難を極めた。

 この石版に刻まれた文字は、失われた言葉であり、現在使われているどの言語の系統からも外れるものであったからである。


 だが、どんなものにも突破口はある。

 この王国と貿易をおこなっていた文明が遺した、対訳文を刻んだ石碑が最近発見されたのだ。彼女はそれを手掛かりに解読を進めることが出来たのだ。


 そして、今日、彼女はその偉業を成し遂げることになる。

 恋というものが、神の名であるということを知ると共に、この石版が歴史書ではなく、神との契約であったことを。



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