第弐話 「愛と勇気の物語」
二人は王城に呼ばれることになった。
夫婦として暮らしてきた彼らは、力自慢の夫と、愛嬌もあり器量良しで手先が器用な妻が、王都郊外で慎ましやかに暮らしていた。
「突然呼び出されるなんて、何だろうね。」
夫は途次妻に話し掛ける。
「そうね。王様から呼び出されるなんて余程のことじゃないかしら。」
妻も何のために呼び出されたのか見当も付かず、緊張していた。
この国の北方にある魔族の国が活発化しており、小競り合いも続いていると聞く。どうにか我が国の兵士が押し返しているようだが、人手はいくらあっても足らないのだろう。
王都は平和そのものだが、辺境地域はそうではないようだ。
「もしかして、戦争に行けという話かしら。」
妻が心配そうに言う。
「そうかも知れないな。勇者を求めているという噂も聞くし、十中八九そういうことだろうな。」
夫も諦めたように頷いた。
二人は、王の間に到着すると、傅いて、巨大な扉が開くのを待った。
二人は名前が呼ばれ、奥へ進むように衛兵に促されると、赤いカーペットの上を、中へ中へと緊張しながら一歩一歩進んだ。
王様の顔など直視することは出来ない。頭を垂れながら、前へ前へと進んでいく。
衛兵に止まるよう指示されると、二人は床に跪いた。
「二人とも、面を上げなさい。」
優しそうな声が頭上から降り注いだ。王様の声だ。
二人は恐る恐る顔を上げた。何を言い渡されるのか戦々恐々としながらも、何を言われても光栄なこととして、受け入れる覚悟を持って、王様を見上げた。
「そんなに緊張しなくて良い。
愛殿と勇気殿、二人には王都中の人々から感謝の言葉が寄せられている。二人の日頃の行いが王国民の心の支えとなっているのだ。朕はここに感謝の念を以て、二人に勲章と金貨を授与したい。受けてくれるな。」
愛と勇気の二人は面食らってしまい、思わず二人は顔を見合わせてしまうのだった。




