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遊頁譚  作者: 劉白雨


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第拾玖話 「古の神々の声」


 私の村には、古くからある石碑が存在する。

 そこには、こう書かれていた。


『此の地は、天地あめつち開けし古より、神の御世を経て、きみ御在おます限り、永久とこしへに譲り渡すりょうなり。何人も、此の領をおかすことあたわず。』


 この石碑は、神より譲り受けたこの地を、永久に侵略してはならないという程の意味であるが、村ではこの石碑の言葉を、神の声として崇め、神より授かったこの土地を未来永劫守り抜くことを誓っているのだ。


 この村にはもう一つこんな石碑もある。

『遥なる後の世に至るまで、此の石を、我らの宿やどりさだめ、君とのちぎりを護り続けなん。』

 こちらは、未来永劫この石碑の約束を守っていくことを誓っているのだ。


 このような石碑が村にはいくつかあって、これを総称して〔神々の声〕として、観光資源にしようと、村長は考えているようだ。


 こんな古臭い石碑だけで観光資源になるなんて考えられないが、それが現実になりそうな出来事が先日起きたのだ。


 老朽化に伴い、立て替えを余儀なくされた村役場庁舎は、一旦取り壊された。

 そして、基礎工事を始めた時に、その石碑は発見されたのだ。

 そこにはこうあった。

『吾が心、汝と結びて、天地の始まりより常磐とこいわに在り。神代の昔、君が御魂と契りしちかい、此の地に宿る。星々を渡る風が、後の世に至るまで、此の石、愛のまことあかしとす。』

 つまり、これは永遠の愛を誓った石碑である。そして、学者たちはこう結論づけた。神々の声の石碑は、実は恋文であるだろうと。


 ところがだ。一人だけその説に異を唱えている者がいるのだ。

 その学説があまりにも荒唐無稽で、信じがたいものであるが、我が村では、それを飯の種にしようと画策しているのだ。


 それは、この石碑が宇宙人と人間との恋文だというのだ。



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