第拾伍話 「明日の私は」
私は日々変化している。成長していると言っても良い。
いや、もしかしたら退化しているのかも知れない。
しかし、私が私でいる限り、私ではないのだ。
なぜなら、現在の私はすぐに過去へと過ぎ去り、消えてなくなるからだ。
そして、新たな私がここに存在している。
私は意識の中で連続的に存在していることにはなっているが、それは本当に連続した存在の私なのだろうか。
新たに存在する現在の私は、本当に過去の私と同一の私なのだろうか。
あなたが私に触れた瞬間、私の存在は消えてしまうのだ。
風と共に消え、光と共に生まれる私は、あなたの心の中で形を変え続けていくのだから。
あなたがどれほど私を掴もうとしても、その指の間からすり抜ける砂のように、消えていく。
私が存在を主張すれば、それはすぐに過去へと過ぎ去り、あなたがそれに気付いた時には、そこにもう私はいない。そこにいるのは新たに存在する私である。
あなたは現在の私のことは良く知っているだろう。
だが、過去の私のことはどうだ。
果たしてきちんと覚えてくれているだろうか。
私は瞬きする度に形を変え、存在を変え、私が私でなくなるのだ。
私とは一体何なのか。
そればかりが私を苦しめる。
まるで輪廻転生のように、生まれては消え、消えては生まれる。
そのことは素晴らしいことであり、時の流れの中で紡いでいく、私という存在の、私であるという意義なのだから。
だが、薄れ行く記憶の中に、私はまだ存在するのだろうか。
私は言う。確かに私は存在したのだと。
私が私であったことを、あなたに示したのだと。
私が私であったことの記憶を、あなたに示したのだと。
その記憶が私を生み、私を存在させる。
そして私は未来永劫変化し続けていくのだ。
そう私は〔今〕と呼ばれる存在なのだから。




