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省エネ聖女と覚醒勇者は平穏の地を目指す  作者: ろみ
クノーテ共和国お助け編

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聖女と勇者の活動報告 3

「あーはっはっは!」

「フォー」

 絢爛豪華な王城の応接室に私とノア、ビアンカ様は通された。

 私達の登城を待っていたのはジュリアン王とオーガスト様、サージェ先生の3人だった。

 私とノアはアシュレイ様にした報告と同様の話をジュリアン王達にして、クノーテ共和国での活動についての許可をジュリアン王から貰おうと思ったのだけど、話し終わった後、ジュリアン王とオーガスト様は爆笑していた。

「あっはっは!まさに!まさに護国の聖女と勇者だな!カノン、ノア!お前達は本当に、俺が想像もしない事をしてくれる!」

「その事ですが、陛下。護国の聖女と勇者とはいったい誰の事でしょうか?私は聞いておりませんが」

「よいよい、みなまで言うなノアよ。大恩あるわが友のノアとカノンに俺が国民最高の栄誉たる国王からの称号を与える事は当然の事。礼など要らんぞ」

 そう言って再び高笑いするジュリアン王は全然ノアと会話が嚙み合っていない。ノアの眉間にピッと一本縦皺が入った。

 貴族と王族って、基本庶民の言い分は聞いてくれない感じだよねー。アシュレイ様も最初はそんな感じだった。でも今のアシュレイ様は会う度にげっそりしているというか、元気がない感じ。今度会った時は体力が回復するようにお祈りしてあげようかな。

 ジュリアン王の称号発令の意図は、ビアンカ様の言い分でほぼ正解だった。ジュリアン王は私達が喜ぶとしか考えてなかったんだねー・・・。逆に何の意図も無かった事に驚くわ。王族の考える事はわからんなー。

「聖女カノン、そなたはやはり面白いのう。色々と規格外のそなたは人が定めた国の枠など気にもせず飛び出して行ってしまうのか。いやはやこれだから儂もまだまだ隠居できん。サージェ、良かったな。問題解決だ。今夜は久しぶりに自宅でゆっくり眠れるのではないか。聖女カノンのお陰だの」

「そうですな。この1カ月かけて考えていた親書の草案も必要なくなった。これはもう、カノンの伝手に乗ってクノーテ共和国に恩を売った方がいいだろう。俺も外交問題など畑違いだったからな。正直俺が動く数倍の速さでクノーテ共和国と接触する事となったな」

 んー、外国に不法侵入と言う頭が全くなく、白竜の言葉に慌てて北に飛んだことは認めます。国の枠なんて考える余裕も無かったよ。ノアですらちょっと慌てていたんだから、思い返してみても私が落ち着いて行動していた記憶は一切無いな。それよりも、1カ月かけてサージェ先生が作った親書の草案の必要が無くなったって言った?

「あの・・・、サージェ先生のお仕事の邪魔をしましたか?」

「いや、いいんだ。手っ取り早く話が進む。我々は来春の陛下の戴冠式を待って、陛下の親書を使節団に持たせてクノーテ共和国と接触しようと思っていたんだ。しかし色々と手順をすっ飛ばしたが、冬の内にクノーテ共和国と縁を結べるとは思わなかった。しかもお前達が親交を深めた相手は北の魔人と謳われるアンブロシウス・ヴィゴだろう。まあたいした大物を釣り上げた物だなあ」

「北の魔人・・・」

 体は確かに人間の規格を越えた大きさだけど、あの心優しいヴィゴ閣下が魔人?

「ヴィゴ閣下はとても優しかったです。私の北国用の服も大人用と子供用、一揃えずつ閣下に買ってもらいましたし」

「カノンは人たらしだな!北の魔人と大陸に名を轟かせる男をも手玉に取るとはなあ」

 なんだと!ジュリアン王には言われたくないな!

「聖女カノン。そなたは思うままに動いて良い。聖女の清らかな魂に善い魂が引き寄せられる。それは生き物の種別を越えての事だ。そして良い縁が結ばれていく。それは自然とそうなる定めだ。悪しきは栄え続ける事は無いし、善い行いを心がけていれば必ず報われる。この世はそうなっておる」

「はい」

 オーガスト様の話はちょっと何を言っているのか良く分からんけど、悪い事するなよって事でOK?

「よし、サージェ。俺の代理でクノーテ共和国に行ってこい。我が国の聖女の護衛兼アストン王国親善大使だな」

「その前に俺の公的身分は第一席賢人だろうが。人手不足とは言えいったい何役やらせる気だ。そのくせ報酬は1人分か」

「そうだ、人手不足だからな。我が国からはお前1人しか出さん。我が国の勇者ノアと元魔術師団長のビアンカ、そしてお前が聖女の護衛に付くのなら戦力としては十分だし、騎士を引き連れて行っては返って邪魔だろう。サージェ、共和国の王に長年の不義理を謝罪し、国交の正常化に努めてくれ。ついでに知識の塔がこの夏に発表したスタンレーの結界とスタンピードの関係についての学説もお前から説明して来い。これが頼めるのはサージェお前だけだ」

「・・・ったく!了解した!」

 サージェ先生は文句を言いながらもジュリアン王のお願いを了承した。これが人たらしって言うんだと思うよ?

 不承不承と言う態度ながらも言う事を聞いてくれるサージェ先生の隣で、ジュリアン王は太陽のように笑っていた。比喩ではなく、光量的に。相変わらずジュリアン王は眩しいなー。テンション上がりまくりでご機嫌も麗しく何よりだよ。


 そんなこんなで私とノア、ビアンカ様に加えてサージェ先生もクノーテ共和国に行く事となった。

 ジュリアン王が言う長年の不義理とは、先代のアストン国王のやらかしだ。

 先々代のラシード王は、クノーテ共和国と定期的に交流を図り、スタンピードの際の相互支援の条約などを結んでいたのだそう。それが次代のジギムンド王になってから条約の更新がいつしかされなくなった。その結果二カ国間の国交は消滅し、クノーテ共和国とアストン王国は民間人の行き来のみがされるようになった。

 スタンレー王国は元々聖女の結界を張るようになった50年程前から南北に挟まれているクノーテ共和国、アストン王国とは自ら進んで没交渉。ジギムンド王の怠慢で、スタンレーを飛び越えても持たれていた交流も途絶え、三国は隣り合っていても交流を持とうとする動きが無くなった。スタンピードの被害が大きくなり、自国の国防だけで精一杯だったという事情もアストン王国とクノーテ共和国にはあったけどもね。

「サージェ、私は裏を読んだり駆け引きなどしない。思った通りに動く。外国と言えど気に食わんことがあれば大暴れして帰って来る。良いな?」

「全く良くないぞ、ビアンカ。お前が来てくれるのは戦力的には心強いが、反面別の心配も出て来るな。大暴れするのはカノンの身に危険が及んだ時だけにしてくれ」

「まあ私も常識のある良い大人だ。意味も無く暴れる訳あるまい。だがクノーテ共和国次第という所か。それにしてもカノン、アンブロシウス・ヴィゴとはどんな男だった。強いのか」

 ビアンカ様に質問されて、私は心優しき巨人、ヴィゴ閣下の事を思い浮かべた。

「えーと・・・。多分強いです。物凄く。身長がノアの1.5倍ありますし、体の厚みは2倍でした」

「ほう!なかなかだな。一度手合わせしてもらいたいものだ」

 あ、ビアンカ様も戦闘狂の気があったんだったよ。でもヴィゴ閣下が女性と戦ってくれるかなあ。

「・・・もし、ヴィゴ閣下が良いと言ったらにしてくださいね?」

「もちろんだ。いきなり仕掛けるなど無礼はすまいよ」

 手合わせの際、いきなり一礼しているノアに斬りかかり、更に剣先で土を掬い上げてノアにぶっかけたビアンカ様が良い笑顔で約束してくれたけども。

「サージェ先生・・・」

「カノンの護衛とアストン王国の外交親善大使、知識の塔の賢人としても共和国の要人と会議を設ける上にビアンカのお目付け役だな。俺に全て任せておけ」

 やけくそ気味で私のお願いまで引き受けてくれたサージェ先生には、対面からえい!と回復魔法を飛ばしておいた。目の下のクマがサージェ先生凄いんだよ。サージェ先生は家に帰れてないってオーガスト様が言ってたしな。それなのにジュリアン王とオーガスト様は顔の色艶も良くとても元気そう。何だかサージェ先生が今みたいな感じで全て背負っていそうで非常に気の毒だなー。おまけにサージェ先生には清浄魔法も重ね掛けしておこう。

 すると、すぐさまテーブルの上のお茶菓子の全てが私の前に集まった。皆さん分かってくださっている。ありがたくいただきます。

「よし!少数精鋭、アストン王国使節団の結成だな!対外的な動きはお前達に任せる。俺とオーガストは国体の刷新のための仕事がまだまだ山積みだ。手分けしてみんなで頑張るぞ!」

「はい!」

 ジュリアン王の檄に思わず良い返事をしてしまった私の肩に、ノアがポンと手を置く。

「カノン、私達はジュリアン王の依頼でクノーテ共和国に赴くわけでは無いのですよ。あくまでもヴィゴ閣下の依頼ありきの動きですから、アストン王国の思惑等は私達に直接は関係の無い事です」

「あっ!」

 そうだよ、そうだったよ!

 今回王城に来たのはあくまでも、私がヴィゴ閣下のお願いをクノーテ共和国に行って聞いてあげても良いか許可をもらう為だったんだよ。

 あっぶなー。いつの間にか私もアストン王国の使節団の一員になった気でいた!ジュリアン王のこの、天性の、天性の人たらしスキルといったら!私、チョロ過ぎて、丸め込もうとしてくるジュリアン王に抗い続ける自信が無い。

「はっはっは!まあ細かい事は気にするな!俺達の最終的な目的は一緒なのだからな」

「その目的とはなんでしょうか」

「俺達が欲しているのはこの大陸の平穏、平和だろうが。全ての国が自然の脅威に怯えずに暮らせるように、我々は国を越えて手を取り合うのだ!」

 それはまあ、その通り。

 ジュリアン王は、適当なようでいて、お調子者なようでいて、時々こんな感じで周囲をハッとさせることを言うんだよな。そしてそれは、本心からの言葉だと分かるので周囲も黙ってしまうという。

 ノアもそれ以上ジュリアン王に何も言えず、オーガスト様は引き笑いをしていた。ビアンカ様ですらジト目でジュリアン王を見ているけど反論もせずに黙っている。

 何だか良いように使われてる感もあるけど、確かに私達は共通の目的、この大陸の平穏、平和のために動き始めたんだもんなあ!


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オーガスト様が健在でよかった!
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