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嫌いだ  作者: 蓮根三久
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「―――ってのが今日のうちのクラスの出来事でな?マジであのS野のヤツ、空気読めんねや。」



 憂鬱だ。自転車を漕ぎながら口を動かす。しかしそこから音は出ない。出さない。



「聞いとるか?二宮にのみや。」



「聞いとる聞いとる。S野先生の話やろ?」



 並走しながら相槌を打つ。しかしそれは同意を意味してない。



 その頃の僕はギラついていた。心にナイフを持っていた。この世に人間は幾らでもいるのに、誰も僕を理解できないと。



 だけど――――



「そやな。S野先生、そんな怒らんで良いのに。」



 僕はそのナイフの刃を、分厚いカバーで覆い隠していた。



 涼しいけれど、どこか不快感を帯びた風が首に当たって、冷汗が伝う。



「まぁーーーったくもう、タルいで。」



 溜息を吐きながら僕の横を自転車で走るS木を横目で見て、バレないように溜息を吐いた。



 僕とS木は腐れ縁だ。本当に腐りきった、縁なんだ。だけど帰る方向が一緒だから、小学校からずっと一緒にいる。ただそれだけの関係なんだ。



 そう思っているのがS木もだったらいいのに。なんて思う僕はきっと屑だ。



「テストも近いし、マジでタルいことばっかや。とっとと死にてー。」



「………そやな。」



 死にたい。死にたい。死にたい。



 なんでそう軽々しく言えるのか、僕は理解に苦しんだ。



 小学校からの仲で、ずっと一緒に登校しているのに、どこまでも違うS木のことが―――



――――僕は嫌いだ。

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