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嫌いだ  作者: 蓮根三久
17/24

十七



 修学旅行、開始――――



 班のメンバーはS井、I村、M倉、H間だった。S井以外の三人の内、M倉は幼稚園の頃からの腐れ縁の男子、I村は少しサバサバしてる女子、H間はよく保健室登校をしている女子だった。



 K岡と一緒の班じゃなくて、S井と同じ班であることに一旦僕は安堵した。



 H間以外の班員とは関わりがあって、僕はこの旅行が楽しいものになると信じて疑わなかった。



 京都旅行。その道程のバス。赤色。



 鼻血を出した。



 小学校の修学旅行の時も鼻血を出して熱を出したし、遠出する時は決まって鼻血を出してしまうのが僕なのだ。あらかじめ用意していたティッシュでそれを止める。



 バスの隣の席に座るS井は心配そうな顔をしていた。



 旅の始まりは憂鬱だった。



×



 一日目。奈良公園と和菓子作成体験。



 長時間バスに揺られた末に、和菓子を作って公園を散策する。体力が無ければきっと最悪の旅行になってしまっただろう。



「S井!すごくね?クソ上手に出来たで!」



 と、作成した菊の和菓子を見せつける。僕は毎回の遠出で鼻血を出したり熱を出したりするけれど、旅行自体は楽しくて大好きだった。



「二宮すごいねえ。これめっちゃ難しくない?」



「うん。ガチでむずかった。」



 なんて会話を繰り広げる僕の肩を、M倉はトントンと叩いた。



「ねえ二宮、俺の菊が蒲公英みたいになってるんだけど。」



「それは一体なんでなん?」



 花弁が無数になっているその菊…蒲公英を見ながら溢す。



 M倉はS井と似たような属性で、ほんのり天然が入っていて純粋な性格だった。だから相性は一応良かった。同じ幼稚園で小学校で中学校で、しかしあまり同じクラスにならなかったので関わることが少なかったのだけど。



 和菓子を作る体験も終わり、奈良公園での自由行動が始まった。



 自由行動と言っても、することは決まっている。鹿せんべいを購入し、鹿に与えることだ。



 その行為はとても新鮮で、でももう二度とやりたいとは思わなかった。手を鹿に舐められたので。



 そんな風に修学旅行の一日目は幕を閉じた。夕飯はビュッフェ形式で頂いた。


 ホテルの部屋は班員と同じではなくて、あまり馴染みの無い人たちだったのであまり楽しくは無かった。

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