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一
始まってしまいました
ほぼノンフィクションの物語が
僕は中学生の頃、二年連続で同じ担任になったことがある。
大して珍しいことじゃない。余談――僕はその学年で三年連続同じクラスだった子が四人ほどいたし。
しかし強く印象に残っている。正直、最後の担任だった先生よりも。
S野先生は、その学年の中で最もハズレと言われた先生だった。
もしかすると学校全体で見てもハズレだったのかもしれない。
その先生の『良い話』は同じ教員からしか聞かなかった。
「S野先生はほんまええ人や。」
「S野先生にみんな感謝せえ。」
多くの生徒はそれを真に受けなかった。詭弁だろ、と。
そしてそれは、当時十三歳だった僕も同様だった。