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市ヶ谷駐屯地

「ねえ大神、どこかあてがあって歩いてるの、もしかして東京の出身なの」

 何も答えずにどんどん先に歩いていく、もうマイペースなんだから

「輝夜ならだいじょうぶさ、きっとあそこに行くつもりだよ。とにかくついて行こうよ」

 ヤジロウが指さす標識には自衛隊市谷駐屯地と書かれてあった。


 駐屯地では隊員たちが忙しく動き回っていた。有事なのだから当然のことだ。大雨や台風被害が発生して出動する自衛隊をパパはテレビを見ながら「このために高い税金を払っているんだよ戦争なんかに加担しちゃだめだぞ」といつも言っていたが間近で隊員たちを見て納得しためっちゃがんばっている。大神はボクたちから離れ正門にいる隊員に何かをしゃべっている。この忙しいのに中学生なんかを相手にしてくれるわけがないのにと思っていたら、話を聞いた隊員が急いで建物の中へ入っていった。残った隊員からは尋問を受けているようだった。

「輝也すごいね。あんな大人に向かって堂々と話をしているよ」

 ヤジロウはビビっていて近づくこともできないでいるのにたいしたもんだとボクも思った。大神が僕らに向かって声を出した。

「しばらくそこで待っていてくれ」

 と言うと建物の中に誘導されていった。

「捕まっちゃたのかな輝夜、どうなっているんだろう」

 そんなのボクにもわかるわけがない、ただ()()()という名を連呼していたように聞こえた。ボクは人よりも耳がいい、このくらいの距離ならあの低音ヴィオラボイスが何を言っているのか少しくらいならわかる。

 隊員さんが一人ボクらの方へ来て中へ案内してくれた。

「ねえ隊員さん、みどうって誰なの」

 ボクは思い切って聞いてみた。大神が心配というよりもどうして自衛隊の人たちにコネクションがあるのかが気になったんだ。

「君たち怪我はないかい大変だったね神戸から来たんだってね。御堂幕僚長(ばくりょうちょう)のことだよお嬢さん、何でもあの大神君が知り合いみたいなんだ。連絡を受けた幕僚長がすぐに呼んで来いと私も驚いたよ」

 驚くのはボクの方だ。なんとか長といえばきっと偉い人だと思う。そんな自衛隊のお偉いさんと大神はどういう関係なんだろう謎は深まるばかりだ。

「驚いたね輝夜が幕僚長と知り合いなんて、お父さんは自衛隊員なのかな」

「そんな一隊員の息子にこんな時にあってくれるわけはないよ。もっとなにかあるんだよ」

「アオイ、何かあるって何」

「わからないよ。情報が少なすぎる」

 ボクたちはしばらく待たされたが隊員さんが少しの食べ物と飲み物を差し入れてくれた。数名の隊員たちと共に大神が戻ってきたのはそれから一時間後だった。

「待たせたね。戻るまでの分は無理だったけど一週間分ほどの食糧や装備は貸してもらえた。今日はここに泊らせてもらえるから安心だよ」

 安心だよ自衛隊に宿泊?わけわからない、でも少しうれしかった。

「ご苦労様大神、いろいろ手を打ってくれてありがとう、でもわかってるわ詳しくは聞かないから」

 ヤジロウも大喜びで大神に何か聞こうとしているがアカネが

「ヤジロウ、大神に何も聞いちゃいけないよ」

「友達を続けたいなら話してくれるまで待ちなさい」

 ボクもアオイやアカネと同意見だ。話せないわけがあるはずだ。でもヤジロウは聞きたくて聞きたくてうずうずしているので

「聞いたら絶交だよボクは許さないよ」と大きな釘をぶち込んでやった。


 でもボクの中には大きな疑問も膨れ上がっていた。この大震災も大神は知っていたのかもしれないと

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