理事長と大神
ボクたちはリサ先輩に連れられ宝蔵院重工研究所内に導かれていった。
「ここは自衛隊の最新鋭の機体が開発されていて最高機密の場所だけどあなたたちはいいみたい」
首からかけられたIDカードにはいつの間に撮られたのか顔写真と名前が裏に印刷されていたのには驚いた。
「どうしてこんなカードが用意されていたんですか。ボクたちの名前まで?」
「あなたたち知らなかったのアルテミス学園の正式名称を」
どういうことなのかボクには全く分からなかったので
「アオイ、なんて言うの教えて」
「学校法人宝蔵院学園 アルテミス学園よ。校門のところの表札に書いてあるじゃない!ほんと注意力がないのね。きっと学校から資料提供を受けているのよ」
なるほどグループ企業だったの道理で融通が利いているのか、このナンバーはボクの生徒番号だ。見覚えがある。でも個人情報なのにいいのかな。
「やあ君たちよくここまでこれたね。さすが優秀な生徒たちだ。大神君もこの世界に少しは慣れたかな。それと須久那坊のお嬢たちも久しぶりですね」
ボクは驚いたこんなところでテンミニッツに会えるなんて、それにこの世界?
「テンミニッツがどうしてここにいるんでしょうか?」
「その名でよばれるのは懐かしいですね、ひなた。宝蔵院天鼓のミニの意味だったんですがグレードアップしたのであなたのお父さんが名付けてくれたんです。そして私がこの会社のC.E.O.だからですよ。ちなみにあなたたちの学校の理事長でもあるんですよ」
あのおじさんがそんなに偉い人だったなんてパパもママも一言も言ってくれていなかった。これからは理事長と呼ぼう。
「ところで理事長、この子たちをお連れしたんですがどうしてでしょうか」
リサ先輩は理事長に尋ねた。何も知らないでボクたちをここまで引率していたのかボクも知りたかった。
「特待生としてどれだけこの状況に順応できているのかを知りたくてね」
特待生?そういえばボクたち三人は授業料免除とか言われていたけどヤジロウや大神までそうなんだ。
「ヤジロウも特待生だったの」
「うん、そうみたい。僕は君たち三人がアルテミスに進学するって聞いたから願書を出したら特待生になっちゃってパパもお母さんも驚いたんだ」
「喜多屋ジロー君だね。興味深い君は優秀な生徒だ。誇りをお持ちなさい」
どこが優秀だったんだろう?テンミニッツが興味深いという時は何かある時だってパパがそう言っていた気がする。
「私たちもどこが優秀かって言ったらどこもないじゃんひなた、あんまり気にしないでいいんじゃない。きっとコネだよ」
アカネの言うことももっともだボクに誇れるところしいて言えば力持ちくらいだ。
「特待生って気にすることないわよ。あの学校の八割は特待生だから、理事長の道楽で学校を運営しているって噂もあるくらいだから」
リサ先輩がボクの疑問に答えてくれた。
「道楽ですかふっふっまあそんなもんですかね。あなたたちお腹は空きましたか?これからご褒美にごちそうにいたしましょう」
ご馳走!うれしい響き、何を食べさせてくれるんだろう。ヤジロウの迷判断でお昼を伸ばしてよかった。
ボクたちは食堂まで案内されるとそこには鉄鍋が載せられたコンロがあった。
「もしかしてすき焼ですか、大好物です!!!」
ヤジロウは飛んで喜んだがそんなにご馳走だろうかな?パパが作ってくれればうれしいのだけど
「牛頭さんたち二人がいれば作るのは任せた方がいいでしょう。キッチンの冷蔵庫から好きなものを使うといいでしょう。私は食事をしないからよくわからないので」
食事をしない?どうしてだろう。そうフー師匠のところへ行くとよくパパが作ってくれたすき焼をそれを思い出してくれたんだろう。アオイとアカネはキッチンへ行くと準備を始めてくれた。ボクも少しくらいならと手伝いに行った。
「電気も止まっているのにどうしてこの冷蔵庫冷えているんだろう」
「これも異世界テクノロジーってやつじゃねぇ。深く考えない、おっ!この肉かなり上等だよ」
アカネは食材の目利きにたけている。アオイは食材選びはアカネに任せお米を研いでいる。ボクは大きな冷蔵庫の中を物色して野菜やらあれこれを取り出していた。
「僕もなんか手伝えるかな」
ヤジロウが覗いてきたが
「いいよ。それより理事長と大神が話しをしているだろう。ちょっと盗み聞ぎしてきてよ」
そう大神は理事長に何かを話しているところをキッチンに来る前に見たからだ。
「わかったよ。僕も気になっていたんだ」
ヤジロウはそれとなく二人に近づいていたのであった。




