白虎ー戸塚~平塚~大磯~小田原へ
お風呂にも入って美味しい晩御飯も食べれて熟睡ができたと言ったら、いつも通りの寝相といびきだったとアオイとアカネに朝から笑われてしまった。
「?ひなた何にぎってるの、それ」
アカネに言われて右手を見ると皮のひもが垂れ下がっていて開くと金銅色の刀の鍔のようなものがあった。
「なにこれ!」
リサ先輩がのぞき込むと
「刀の鍔?いやナックルダスターかな」
「ナックルダスター?なんですかそれ」
「拳にはめて打撃力を強化するための武器、メリケンサックとも言われているわ」
武器なのこれは四つの穴に指を入れてにぎって見るとしっくり手に馴染んだ。
「痛たそー殴らないでよひなた。でもどうしてそんなもの持って眠ってたのかしら」
「アカネ、そう言えば夢を見たの西にあった祠の石地蔵さんが出てきてお礼にいいものを上げるて行ってた気がするけど」
「このお寺のものかもよ寝ぼけて持ってきたんじゃない和尚さんに返しに行かないとだめよ」
アオイに言われたので和尚さんに見せに行くとまったくわからんと言われてしまった。
「お地蔵さんがくれたのよ。貰っちゃえば」
「そうしようか。異界獣なんてのもいるし武器はあったほうがいいね」
僕をナックルダスターを握ってシャドーボクシングをしていた。
「おはよーひなた何朝っぱらからはしゃいでるの」
ヤジロウと大神が起きてやってきた。
「お地蔵さんにこれ貰っちゃった」
革紐を握ってぶらぶら振り回して二人に見せた。
「ちょっとそれ見せてくれる」
大神がそういうので渡してあげると
「これは鉄貫という神具だ。白虎の加護が付与されているみたいだ。ひなた握ってごらん」
投げ返された鉄貫を指に通して再び握って見ると大神が手をかざして
「ノウマク サンマンダ バザラ ダン センダ マカシャダ ソウワカ ウンタラタカマク」
唱えると革紐が腕に手甲のように巻き付いていった。
「うそ、めっちゃフィットしているじゃん」
ジャブを何度か繰り返すとパンチのスピードさえも速くなった。
「何その長ったらしい呪文」
「不動明王の真言だよ。覚えておくといい」
「覚えれないよ。あとで紙に書いておいてお願い」
大神はやれやれといった顔でさらさらと真言を書いて渡してくれた。読みやすくてきれいな字だ。
「サンキュ、覚えれるかな・・・でも大神は変なこと知ってるね。白虎かトラさんと言えばアカネほらあの人、虎みたいな動きだったよね」
「フー師匠のことか、女将さんと一緒に修行に行った。きれいなお姉さん確かに虎みたいだったね」
「そうね。白と黒の髪の毛は白虎だね」
「アオイやアカネもそう思ってたんだ」
「もう気が済んだひなた、早く朝ごはん食べて出発しようよ」
ヤジロウはしびれを切らして催促してきた。ボクたちは朝ごはんを食べると和尚さんにお辞儀をして
「行ってきまーす。ありがとうございました」
手を振って自転車を走らせた。




