Episode4 〜目覚め〜
倒れた翌日に目を覚ました尖
その時、彼に起こった異変とは
「もう、すっごい頭が痛い。ゲームで何日も徹夜した後みたいな気分だよ。最悪だ」
寝起きから機嫌が悪そうな尖とは違い、周りにいたメンバーは心配そうに見つめており、それに気がついた尖は少し驚いてた。
「無事そうでよかったわ。お前をここに運んだときはめっちゃ焦ったわー。いきなり倒れたかと思うと寝てるってどういうことだよ。今までもこんなことあったのか?」
そう話しかけてきた剛を見た途端、尖の目には見たこともない光景が見えていた。
服を着ているはずの剛の身体がやや透けて見えて、筋肉量や骨格までが3D画像のような状態で自分の目に映っている。
「どないしましたの?」と横から声をかけてきた彩心を見ると、尖は思わず変な声をあげて目を逸らしてしまった。剛と同じように目に映った彩芽の身体は、尖には刺激が強かったようだ。
心配そうに見ながら近づいてくる彩心に対し「それ以上は寄ってこなくていいよ・・・色々見えちゃうからさ・・・」
思わず彩心は驚きながらも
「起きて早々に何を言ってはるん?新手のセクハラですか?」というと笑い出した。
尖は顔を赤くして固まっていた。
そんな様子を見ていた導明が尋ねた
「尖くんには、何が見えているの?言いにくかったら、とりあえず僕だけに教えてくれてもいいから」
そういうと導明は尖の口に耳を寄せた。
それに少し戸惑いながらも尖は導明に目に映るものを伝えた。
「なるほどね。それはある意味で困った状況だ。とりあえず、女性の方には一時的に退室していただこう。そうしよう!」
そういうと、導明は叶実と彩心を医務室の外へ連れ出し、待機してもらうよう説得した。
状況がわからず納得はいかなかったようだが、導明の説得もあり2人は医務室のドアの横で待つことにした。
戻ってきた導明が残ったメンバーに事情を話した。
にわかには信じられないという者、少しニヤニヤしている者、特に興味がなさそうな者など反応はさまざまだが、尖の態度から何かが起こっていることは理解できたらしい。
少し沈黙が続いた後、「これがお釈迦様の言ってた "力" ってやつなのかな?」と才華がつぶやいた。
その言葉を聞いて、自分にも変化が起こっているかもしれないと思った剛たちがいつもと違うところを探していると、尖はまた気絶するように寝ていた。