Episode2 〜天命〜
釈迦は優しい目をしながら
「人には生まれながらにして持ったエネルギーの源泉となる7つの欲求がある。生存欲、睡眠欲、食欲、性欲、怠惰欲、感楽欲、そして承認欲だ。これらは人にとって大きな活力になる(まぁ同時に満たされないがゆえの悩みの原因ともなるのだが・・・)。僕は7つの欲求が特に秀でた君たちに力を与えようと思う。この7人が集まったのは偶然ではない。皆が協力して明るい未来を作ってくれることを願うよ」
釈迦は話し終わると、一度も聞いたこともない言葉を発しながら、7人の肩に触れた。
そして、それぞれの頭の中で声がした。
「我、このものに力を与えたり。力に惑わされることなかれ、溺れることなかれ・・・」
「ちゃんと話を聞いてくださいね!」
司会の女性の声が聞こえてきた。7人全員が夢か現実か分からないままに時間が動き出した。
そうして1日目の研修も終わったころ、1人の高校生が6人に話しかけた
「おい、みんなこれからどうするんだよ?」
「・・・・・」
誰も何も言わない、もしくは戸惑っているような空気が流れた。
「あ〜、とりあえず声かけたのは俺だから自己紹介するわ。話はそれからか。俺の名前は不死原 剛。よろしくな!次は、隣の君から自己紹介どうぞ!」
半ば強引ではあるが、剛の勢いに負けた隣の学生が話し出した
「僕の名前は、睡無耐 尖。名字で呼ばれるの好きじゃないし、尖って呼んで」
尖は自己紹介が終わると、自分の隣にいた女性に目線を移した。その視線を感じ取り3人目の自己紹介が始まった。
「私の名前は、神味 叶実。呼び方は任せる。趣味は料理かな」
続けるように叶実が視線を隣へ移したとき、思わず驚いた。
今まで気づかなかったが、18年間の人生で見たこともないほどのイケメンがそこにはいた。
「僕の名前は、魅魔 才華。気軽にサイガって呼んで。趣味とかはないけど、たまにファッションモデルとかしてるよ」
才華の自己紹介が終わると面倒く誘うにしながら次の学生が話し出した。
「私の名前は、智戦 秀。よろしく」
秀のシンプルな挨拶を聞いて
「えらい愛想のない挨拶やね〜。うちの名前は伎芸天 彩心といいます。ふつつか者ですが、よろしくお願いします」
急な方言に何人かが驚きながらも最後の一人を全員が見つめた。その問いかけに応えるように
「僕の名前は、大志民 導明です。まだ状況があまり掴めていないけど、仲良くしてね!よろしくお願いします!」
全員の自己紹介が終わったところで、導明が話を切り出した
「みんなは時間が戻る直前、頭の中で何か聞こえた?僕は聞こえたんだけど・・・」