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2/6 ★あしあと

 雪が積もった日の朝、息子と一緒にウォーキングに出かけた。


 朝早いという事もあり、まだ誰にも踏み荒らされていない雪面がほとんどだ。

 ふわふわの雪の上を、ボスボスと踏みしめながら公園へと向かう。


「見てみて!!足跡めっちゃくっきり!!」

「おもしろい。」


 ほとんど雪の降らない地方に住んでいることもあり、積雪を楽しむ人が、ここに、二名。

 まだ暗い早朝の田舎道を、はしゃぎながら歩いていく。


 公園へと続く道のりは二cmほどの雪が積もっているものの、歩道の横を通る幹線道路に雪はない。

 このクソ寒い中、夜中もみなさん働いていらっしゃるということか…。心底、おつ……。


 いつもよりいくぶん足を慎重にすすめながら公園の階段を上ると…うわあ、芝の所が真っ白だ!


「これはいい!」

「すごいねえ、うわあ、写真撮っちゃお!!」


 大喜びで写真を撮り撮り、いつものコースを歩く。


 雪が積もってるだけあって人が少ない。すれ違ったのは、早朝ランニングのお兄さんが一人と、公園管理棟のおじさんだけだ…。

 この公園は、朝六時半からラジオ体操が流れることになっていて、その放送をするために管理の人が必ずやってくることになっているのだな。


「今日は雪が積もってるから、休憩所の中でラジオ体操やろうかね。」

「はい。」


 所々凍っている歩道を注意深く進みながらひらけた場所にある休憩所に向かい、ラジオ体操をきっちり踊ってから周回コースをゆく。


 …もうずいぶん日が昇ってきたな、辺りが明るい。


「見て、あしあと。」


 息子の声にふと振り向くと…自分の足跡が……相変わらずのガニ股だ、なんかこう、はずかしいな……。隣に並ぶ可愛らしい足跡と比べると、うん…。


「ここにもあしあとがある。」

「ああ…ラジオ体操帰りの人かな?小さい足だから女の人かも?」


「ここにあるのは?」

「ああ…これは杖の後だね。」


「これ、みて!」

「かわいいねえ、これは犬さんの足跡だな、冷たかっただろうに…おつ……。」


「これは何だろう?」

「これは…分かった、四点杖だよこれ!うんとね、杖の先にテーブルの裏っ側みたいなのがついてるやつでね、すべりにくいのさ。」


「じゃあこれは?丸い…。」

「……杖かなあ?微妙な感覚でついてるな、何だろうね??」


「もしかしておばけ!」

「おばけに足はないんじゃなかったかね?」


「宇宙人とか…。」

「このクソ寒いのに?」


 宇宙人が寒さに弱いかどうかは、さておき。


 なんだ…気のせいか、やけに足跡が、多いような。


 確か、ラジオ体操をする前…ほとんど人とすれ違っていなかったように思うんだけど。

 今は…ぼちぼち、いる……か……?


 ………。


 ここら辺では、初雪だもんなあ……。


 そりゃ、はしゃぎたくも、なるわなあ……。


 人も、人じゃないのも……。


「温かいものが食べたい。」

「よし、じゃあ、コンビニで肉まん買って帰ろ!」


 粉雪が舞い始めたので、やや急ぎ足で家に帰った私はですね。


「アアッ!!!ない、ないじゃん!誰だ全部食った奴!八個も買ったのに!!!!!!」


「なんかおいしそうな肉まんが落ちてたから食べといてあげた!」

「ちょうどいい感じに冷めてたよ、べふー!!」

「かなりおいしかった!」


 車に積もった雪を落としている隙に、いつも通り…食いもんを奪われたというお話なんですけどね……。


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