表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヤラカシ家族の386日  作者: たかさば


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

64/197

7/31 ☆まるで似てない

夏至生まれの私と、冬至生まれの弟。


私と弟は、まるで性格が似ていない。


美術が得意な私に対し、弟の不器用さと言ったら。

音楽が得意な弟に対し、私の音感の無さと言ったら。


太ましい私に対し、細ましい弟。

炭水化物好きの私に対し、肉好きの弟。

騒がしいのが好きな私に対し、静かを好む弟。

派手にしてなんぼの私に対し、シンプルイズザベストの弟。


同じ姉弟だというのに、こうも趣味嗜好が違うのか。


あまりにも性格が違い過ぎて、ケンカにならない。

ケンカなど、一度もしたことがない。

欲しいものの取り合いなど一度もしたことがない。


したことがないというか…言い争った記憶がほとんどない。

話す必要がなければ、ほとんど会話はしなかった。


けれども、たまに一緒に出掛けることはあったのだ。


例えば、車の免許を取って運転の練習に行く時。

例えば、親戚の集まり。

例えば、引っ越し。


とりわけ、ドライブは良く出かけた。


目的地に行くまで無言で向かい、無言で目的を果たし、無言で帰宅する。

恐ろしく会話のない姉弟であった。


ずいぶん大人になり、旦那に合わせた時、弟はかなり面食らっていた。


「よくしゃべる人だね。」


旦那の人懐こさはずいぶん弟を翻弄したものだ。


そのあとずいぶん経った頃、弟が嫁を連れてやってきた。


「よくしゃべるひとだねえ。」


弟の嫁の人懐こさにずいぶん翻弄された。


あれほどまでに似てない性格の姉弟だったが、選んだ伴侶のタイプはそっくりだったのである。

思わぬところで血のつながりを感じた。


今、弟一家は比較的近所に住んでいる。


しかし、ほとんど会う事は、ない。

弟の嫁とはかなり話をする機会があるというのに。

弟とは年に一度会話するかどうか。


たまたま時間があったので、食事をすることになった。


「でね、会合とかに行かないし、出ても全然しゃべらないのー。」

「うちもだー。井戸端会議もすぐ逃げるよ!!」


旦那と弟の嫁が、私と弟の前で盛大に愚痴っているのだが。


…私も弟も、何も言わずに、ただテーブルの上の枝豆をもぐもぐと食べている。

それを見て、娘と姪が大笑いしている。


「枝豆の食べ方がおんなじだ!!!」

「あはは!!おんなじ!!おんなじ!!」


…まったく似ていない姉弟だと思っていたけれど、そうでも、ないらしい。


「「いいから早く食え!!」」


叱る言葉まで、同時に出る始末だ。


私と弟は、ずいぶん似ている、かもしれない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ