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ヤラカシ家族の386日  作者: たかさば


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2/18 ☆ひげ

 電気屋を営む旦那は、ひげを生やしている。

 別にひげをそらずとも、町の電気屋は問題ないのである。


「もしゃ、もしゃ!」


 娘は、旦那のひげが大好きだ。

 毎日握っては伸ばし、引っ張ってはちぎる。

 おそらく天然の顔から生えるおもちゃだと思っているに違いない。


 そんなある日。


「なんか海外出張行くことになっちゃった。」

「はあ?!」


 何でも、エアコン取り付け業者による講習会?日本の技術者が欲しいとのことで、年配者の多いエアコン屋連盟の中から、若さに注目され抜擢された模様。

 一ヶ月の出張になるんだって。


 パスポートを取りに行くと、ひげを剃るよう指示された。

 何でも、ひげが生えてると、色々と問題があるらしい。



 旦那がパスポートを取って帰ってきた。


 久々につるつるの卵みたいな顔をした旦那を見た。

 誰だこれは。

 ああ、旦那だ。


「ぎゃー!!!!」


 二歳になったばかりの娘がパニックになった。

 ……そうだ、旦那のつるつるの顔、はじめて見るじゃん!!


 気の毒に、旦那が出発するその日まで、娘は泣いていた。




 一ヵ月後。

 旦那が無事に帰ってきた。


 娘に泣かれて出発した旦那は、お土産をたんまり買って帰ってきた。


「はいお土産。」

「はい。」


 あんなに泣いていたというのに、今はけろっとしている。


 何か心境の変化でもあったのか。

 まったく持って謎だった。




「うわ!!!なにこれ!!」


 大きくなった娘が、髭だらけの旦那の写真を見て怯んでいる。


「あんたそのひげ好きで良くむしってたのに!」

「そんなの知らない!キモイ!!」


 当時の娘と同じ年の息子が、必死になって写真の旦那をこすっている。


「これ、とる…。」


 ん?

 もしかして、汚れかなんかと勘違いしてる?


 もしやあの時の娘も、旦那の顔のひげをゴミと思っていたのではあるまいか。

 毎日一生懸命とっていたゴミがいきなりなくなり、仕事がなくなってすねてたとか?


 うーん、イマイチしっくりこないな。


 とはいえ。

 ひげは我が家では、ご法度となった。

 娘のキモイの一言で、あれほどひげにこだわっていた旦那が変わろうとは。

 私がやめてって言った時はスルーしたのに!


 …ま、そういうもんか。


 アルバムを片付けた私は、夕食の準備に取りかかったのだった。


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