表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヤラカシ家族の386日  作者: たかさば


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

118/198

6/22 ☆運のいい人、悪い人

 ……ショッピングモール内にある、30分500円の室内遊園地にやってきた。


 買物に行った時に見かけて以来、気になっていた場所だ。

 娘が入ってみたいというので、入場してみることにした。


 娘はひとりで、一通り…中を回る。

 ボールプール、おままごとコーナー、風船であふれるルーム、ブランコ、汚れない砂場、乗り物コーナー、テレビゲームコーナー。


 娘はテレビゲームコーナーを楽しみたいと思ったようだけれど、先客がいた。


「使ってる子がいるから、別のところで遊んだら。」

「まってるからいいよ。」


 娘は大変におとなしい子供で、のんびりしていて、順番待ちを苦にしないタイプの子供だった。


 健気に…順番待ちをしはじめた、娘。

 前の子は夢中になっていて、譲る気配は…ない。


 5分経っても、10分たっても、前の子は譲ってはくれなかった。

 時折ふり返って、娘がいることを確認しながら、ゲームをやり続けていた。


 娘はただただ、おとなしく…順番待ちをしていた。

 前の子がやっているのを見て、自分の番になったらどう動かすのか、計画をしているようだった。


「もうかえるよ」


 前の子がお母さんに呼ばれた。


「やだ!えんちょうする!!」


 前の子は頑として動こうとせず、結局延長することになった。


 娘はずっと、待ち続けていた。

 持ち時間は、あと5分になってしまった。


「延長したい?でも延長しても多分譲ってもらえないと思うよ…。」

「みててたのしかったから、またこんどきたときでいいや。」


 結局、ほとんど待ち続けて30分が終了した。


 なんだか気の毒になってしまって…、テレビにつないで遊ぶおもちゃを帰りに買ってあげてしまったのだなあ。


「ありがとう!!!」


 めちゃくちゃいい笑顔で、娘は私にお礼を言ったのだ。


 それが確か…保育園の時の、出来事で。


「なんかさあ!私すごく運がいいんだって!!」

「ほしいなあって思うと手に入ったり、やりたいなあって思うとやる事できたり!」


 よく…娘が、言うんだけれども。


 私は、運がいい理由を、なんとなく…わかっている。


 健気な姿勢と、態度を持ってるからね。

 素直に感謝の言葉を伝えることができるからね。


 運のいい人、悪い人。

 人は…いろいろおりますけれども。


 運を受け入れることができない人も、多そうで。

 運が逃げるような毎日を送ってやしませんかと、言いたくなる瞬間が、たまにあったり。


 ……まあね。

 私が甘いっていうのも、あるかもしれないんですけれど。


 子供の笑顔って、見たくなるでしょう?

 私、我慢ができない親というやつなんですよねえ…。


 大きくなって室内遊園地に入ることができなくなった娘とゲームコーナーを楽しみながら、昔の出来事を思い出す。


 今日は弟もいるから、あとで室内遊園地に行ってもいいかな?

 娘は弟の扱いに長けているから、喜び方がハンパなくて……。


 ムムム…。


 いかんなあ、気が散っちゃって、クレーンゲームに集中できない。

 欲しいぬいぐるみが取れなくって…もう2000円使っちゃったよ!


「ねえ、これもう諦めようよ、ぜんぜん取れないし」

「お母さん下手過ぎる!!あたし取ってあげる!!!」


 娘がやったら、…一発で取れたよ?!

 娘…、やっぱり運がいいわ!!


「あれ、ほしい。」

「よ~し!わかった!!」


 娘は自分のお小遣いで、弟の欲しいぬいぐるみを取ってあげるらしい。

 自分は欲しがらないで、すぐに弟の欲しがるものを優先するんだよねえ……。


 ……こういうとこだよ!!!


 なんという……良い人なんだ。


 私はお財布から1000円を出して、娘に追加のお小遣いを渡してあげたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ