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ヤラカシ家族の386日  作者: たかさば


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112/198

5/17 たっぷりホイップクリームパン

 最近ハマっているものがある。


 キラキラと輝くホワイトカラー!

 小麦色のツヤツヤ肌!

 フワリと軽いのに、しっかりずっしり!


 コンビニで売っている、❛❛たっぷりホイップクリームパン❜❜である!!!


 ごく普通のコッペパンの真ん中に、みっちりと詰まった生クリーム!

 まさにたっぷり、どこをどう見ても美味そう!!!

 一口かじればホイップクリームの濃厚な甘さが口の中に広がり…、チープなパンのややそっけない味わいおよび歯触りに実にしっくり絶妙にマッチする逸品なのだ!!!


 この、これでもかと無理やりパンの間にねじ込んではさみこんである感丸出しのクリームがたまらないんだよねえ!!!

 この、ホイップクリームをとことん食らいやがれという挑戦的な姿勢がたまらなく素晴らしいんだよねえ!!!


 人気のパンらしく、コンビニに行ってもなかなかお見かけできないのが真に残念でたまらない。

 …そりゃそうだ、こんなにも魅力的なパンなのだ、誰もが目にしたとたん手をのばしてしまうことは必至!!!


 今日はあるかな、今日こそ残っていてくれ、今日食べないと!!!

 あちこちコンビニを巡っては、ため息をつきつき他の店舗を巡る日々が続いているのである。



『ねえねえ!!お母さんの好きなパン売ってるけど、買っとく?』


 三軒目のコンビニに向かおうか迷っていた私のもとに!

 朗報、キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!


「かう!!」


 旦那の太ましい声を聞き、秒で返事をし!


『わかったー!じゃあ2個買ってってあげるからさあ、ご褒美においしいごはんつくっといてねー!』

「承った!では無事に家に連れ帰るように!」


 ぐふふ、今日はたんまり美味いもんが食べられる!!うひょー!ちょっとイイ珈琲入れちゃお!一気に2個食いはもったいない、明日の朝にひとつ残しておこう、ちょっと硬くなっちゃうけどそれもまたウマシ!



 大喜びで仕事を終え!

 ルンルン気分で帰宅し!

 ごはんを作りながら旦那の帰宅を待ち!



「ただいま~!ちょっとこれ!はい、ちゃんと連れ帰ったよ!ねぇ、ちゃんとおいしいごはん作ってる?!足りなかったら渡すことは…できんなぁ~!」

「ちょ!!ちゃんと作ってあるってば!カツとじとゲンコツ唐揚げ、ドデカミートボールパスタ…小エビとブロッコリーのたまごサラダも!!!はよ、はよ渡さんかい!」


 偉そうなことを言う旦那からレジ袋を奪い取り、いそいそと中身を…うん?!


「ちょ!!!なに…これ!!!」


 なんと、魅力の塊たっぷりホイップクリームサンドが!

 ただの……切れ目の入ったコッペパンになっとるやんけっ!!!


 真っ白に輝いているはずのホイップがどこにも見当たらず!

 袋の中でべたついてしわのよっている、気の毒なパン!

 ぐしゅぐしゅのしるしるの…どう見てもまずそうの代表選手ワールドチャンピオンになっとるがな!!!


「なにこれ!めっちゃマズそうでウケる!今日暑かったから溶けちゃったんだね~、冷やしたら復活するんじゃないの!」

「食べたら美味しいかも」

「も〜、最近のパン、ちょーヤワ過ぎじゃん!たかが三時間ダッシュボードに置きっぱにしただけでさあ!もぐ、もぐ…ズル、ズル……」


 娘と息子もレジ袋の中を覗き込み、得も言われぬ顔をしている!

 そして変貌を遂げたパンには見向きもせず、ガツガツと飯を食らう旦那!


「かわいそうに…なんという悲劇だ……」


 痛ましい事件を前に、私の食欲は…ぐんぐんとなりを潜めはじめ……。


「晩ごはん、お母さんの分はお父さんが食べといてあげるから早く食べてあげたら!あ!お姉ちゃんソレお父さんが取ったしてるエビ軍!も〜!油断も隙もない!」

「お父さんこそあたしのカツの真ん中取らないでよ!あ~も〜!肉団子のソースないじゃん!」

「チーズのせて焼こう」


「ちょっと!なんでそんなに食い散らかす?!ブロッコリーだけ残さないでよ!カツとじ作ったのに、なんでたま丼の具になってんの?!唐揚げの皮だけ剥がすな!ミートボールなくなってもちゃんと麺食べてよ!」


 なりを潜めたら、そこで夕食は終了だ!!


 私は慌てて、おかずに手を伸ばし───!


 なお、汁汁のシワシワのぐじゅぐじゅコッペパンは、普通にわりとボチボチ、美味しかったです、ハイ…。

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