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3/11 ☆猫のぐるぐる

 朝起きてリビングに向かうと、猫が旦那のおなかの上に乗っていた。


 旦那の大きなおなかの上に、きっちり香箱を組んで、乗っている。

 おなかの上で、ぐるぐるぐるぐる、のどを鳴らしている。


 ……なんなんだ。

 そんなに旦那のおなかは乗り心地がいいのか。


 ……そうだなあ、ずいぶん分厚い肉クッションだし、温かいから気に入ったのかも。

 そんな事を思いつつ、朝食の準備に取り掛かる。



「いやあ、昨日ハラ壊しちゃってさ!何回もトイレ行く羽目になっちゃってさ、疲れて下で寝ちゃったよ!」


 そんなことを言う旦那は、朝からご飯を二杯もおかわりしている。


「腹痛かったならもう食うな!!」

「イヤイヤ、なんか今日は調子よくてさ!」


 三杯目はきっちり拒否して、出勤させた。




 その日の夕方、旦那がひーひー言いながら帰ってきた。


「こ、腰がいてえ・・・。」


 どうやら重たい荷物を持ったときに、ぎっくり腰になりかけた模様。

 帰宅するなり腰をエビのように丸めて…、横になっちゃったよ。


 あれ、そのままいびきかいて寝ちゃったぞ。

 …まあいいや、ご飯まで寝かせておくか。



 ご飯を作ってリビングに行くと、旦那の腰の上にまたもや猫が乗っている。


 あーあー、ぎっくり腰だって言うのに、猫なんか乗っけちゃって…ん?

 まーた香箱組んで、ぐるぐるいってる。

 ホント旦那の上に乗るの好きなんだから。


「ちょっと!ごはんできたよ!どうする?」


 旦那に声をかけると、むっくり起き上がった。…あれ、腰痛かったんじゃないの。


「食べる食べる食べる!!」


 旦那はあれだけ痛い痛い言っていたくせに、普通に痛がってたことを忘れて、いすに座ってご飯をもぐもぐバクバクがつがつ食べ始めた。……ちょっとは大人しく食べたらどうなんだ。



 ……最近旦那の上に、猫が乗っているのを見ない。


 暑くなってきたからかな?

 ……そう思っていたけれど。


 このところ、私のおなかの上に、よく乗ってくるんだよねえ…。


 おへその下の辺りに、いつの乗ってきて、ぐるぐるぐるぐる、香箱組んで、のどを鳴らしている。

 毎日毎日乗っかるもんだから、乗ってないと眠れなくなっちゃうくらい、くせになっていた。



 そんな毎日が続いたある日。


 いきなり猫が、おなかに乗らなくなった。

 乗せてもすぐ降りてしまう。

 …なんでや?


 もうずいぶん寒くなってきたのに、おなかに乗らない猫。

 香箱を組むのは、ホットカーペットの上ばかり。


 寂しいなあ、嫌われたのかなあって、思っていたんだけど。




「おめでたですね。」


「……はい?」


 体調不良で病院に行った私の耳に、聞きなれない言葉が届いた。


 はい???


 ちょ!!!


 はい????!!!!!


 娘を産んで、九年が経っていた。

 まさかまさかの御懐妊。


 あれよあれよという間に、上の子はおねえちゃんになった。




 …このところ、気付いたのは。


 猫の香箱ぐるぐるには、なにやら不思議な力があるのではないかしらということだ。


 …思い起こせば。


 旦那のおなかも。

 旦那の腰も。

 私のおなかも。


 香箱を組んだ猫のぐるぐるで、快方に向かったのではなかろうか。



 ……今も。


 成長痛でひざが痛いと言っていた息子のひざの上で、猫が香箱を組んで…ぐるぐるいっている。


 明日にはきっと、痛みはなくなっている…かも?



 うちにはすごい、お医者さんが、いるらしい。



 猫のぐるぐる、侮れない。


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[良い点] 厄払い&福招きのニャンコ先生ですにゃ♪ [気になる点] シッポの本数w
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