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RECALL THINK Of THE PAST



抱きしめていて……


私はいいの。


私が居なくたって、

あなたは大丈夫だから……




信じてるね……

拓斗………













 夢……か。また、思い出しちまった。

 小窓から照り付ける太陽の光に目を細める、綺麗な一人の男性。




 「あなた、由紀が遊びに連れてってって……。

あと、ほら。ジュリーさんから手紙届いてるわよ。」


 あ、誕生日パーティーのお誘いだな。もう27歳だったか?

 妻の声に腰を上げ、今年5歳になる自分の娘を片手で抱き上げる。


 「パパと遊園地行くか?」


 そう問うと、俺の胸に顔を不機嫌に埋めていた彼女は

「うん!」と可愛らしく頷き、ニッコリと微笑んだ。







 あれはニ十年前。……暑い、夏だった。










 俺、前田拓斗は大学の2回生。成績優秀で、親父は有名企業の社長。将来に夢というものが無かった俺は、俺限定のそのレールを有り難く走り抜けさせて頂く事にしている。



 「あ~、旅行ねぇ……。」

 今3階の空き教室でうん、うんと嬉しそうに頷き微笑んでいる目の前の女性は俺の彼女、早乙女由紀。


 因みに俺が初めて惚れた女性である。

 一つ年上で、大人しくかなりの美人。思いやりがあり、少しドジだが、何事にも全力を尽くす、そんな女だ。


 2年前。顔と金に無数に擦り寄って来る女達がうざったく、『女』というモノを毛嫌いしていた俺の目に、彼女だけは違って映った。


 何と言うか……。蝶みたいだなと思った。


 一目惚れって奴かな。

 如何にも友達に無理矢理連れて来られたって感じで俯いてたけど、俺から連絡先を聞き、何度か会う内に、想いが通じ合い、今のような関係に至った。





 「ノルウェーなんてどう?」 そんな彼女に、俺が昨日の夜一人ニヤニヤしながら考えたプランを説明する。


 もうすぐ入る夏休み。

その最後の1週間に、ノルウェーの首都、オスロへ訪れよう、と。


 あらあら…黒く大きな瞳で頬を緩ませている彼女は、空想の世界に出かけてしまったよう。 なんだか、無茶苦茶幸せそうだ……。


 「ゆーき。」


 彼女の肩を叩くと、現実へと帰ってきた彼女は顔を赤らめ、

「ごめん、妄想してた」と言って、舌を出して笑った。



 そして前日になり……

俺達は街へと出掛け、キャイキャイとはしゃぎながら、仲良く買い物を終えた。

 左手に絡まる彼女の右手を愛おしく感じた俺は、

「明日、楽しもうな。」

と言って微笑みかけた。






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