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1-07 現地民との接触




 かつてこの世界は、楽園だった。

 何時からだろう、ここが地獄になったのは・・。

 決まってる、奴らが来てからだ!


 天空から降りてきた巨大な動く城は、緑色の悪魔たちを解き放ったのだ。

 奴らは、『ガア』と名乗った。

 最初は、それが名だとは思わなかった。

 ただ、ガアガアとがなり立てて居るだけに聞こえたのだ。

 奴らは定期的に食料を略奪し、人々を(さら)う。

 昨夜(ゆうべ)は隣村が襲われた、次は俺達の村が襲われるんだろうか?


 奴らが来た夜に王都は、焼かれた。

 王様や騎士様達は、一番最初に餌食にされたらしい。

 そして、次に大きな街が襲われた。

 逃げ延びた者たちから伝わったのは、緑色をした悪魔達の姿と家を焼かれ陵辱された人々の悲惨な現状だった。


 知恵の有るものは、森や山に逃げ込み命拾いした。

 それからは被害を減らすために、少数で分散して隠れ住む様になった。

 畑は荒れたが、豊かな森の恵が逃げ出した人々の命を繋いだのだ。

 今は、奴らに見つからないように、深い森の中に隠れ里を作り暮らす毎日だ。

 何時になったら、昔のような平和な暮らしが出来るようになるんだろう。




 ◆




『ホントにこの先に村が有るのかい?こりゃ~獣道(けものみち)だよ』


[間違いなくこの先に隠れ里が有るはずです。

 生体反応が50ほど確認できます]


『ネズミや兎じゃ無けりゃいいけど。

 まあ~急ぐ旅でもなし、ボチボチと行くとしようかね』


 あたしは今、地上に下りている。

 ウイルスは出来上がったが、バラ撒けば10日と置かずに奴らは死ぬだろうね。

 一応、後の影響を考えてバラ撒く前にフィールドワークと洒落込んだ次第さ。

 上から見ていた感じだと、やっとこさ鉄器の加工が始まったばかりの中世前期ぐらいだろうね。

 建物は主に石作り、農耕がメインの※文明レベルタイプ0の前期0.25位かね~。

 大きな街や村は、瓦礫と廃墟となってほとんど人は住んでなかった。

 幸いなことに、ここの住人はあまり文明が進んでいなかったからサバイバル生活に抵抗が少なかったんだろうね。

 これが発達した機械文明なんかだった場合、サバイバルで生き残るには過酷すぎて滅んだりする場合のほうが多いだろうと思うよ。

 但し、それなりに抵抗もしただろうけどね。


 たまに出くわす奴隷狩りは、位相空間に潜りスルーして、調査を続けながらここまで来たけど・・随分と山奥だね、こりゃ~。


 そうそう、あたしの今の格好がどんなか教えとくよ。

 黒紺のオーバーオールに黒のコンバットブーツ、髪をサイドポニーにして黒ヒョウに擬態したキシャールのガーディアンにまたがって旅をしているよ。

 旅って云っても、まだ地上に降りて5日目だけどね。


 この星の植生と生態のサンプルの収集は完了、大気組成は概ね銀河系のハビタブルゾーンに多数存在する生存可能惑星に類似しているね。

 若干だけど、分析不能っていうか銀河系では見つかってない物質も発見したよ。

 反物質に似てるけど急激な対消滅は起こさない様で、放射性物質の様に未知のエネルギーを放出している。

 長時間放置すると唯の土塊になってしまうんだけど、革の袋なんかに入れておくと長期間保管できる。

 それでも、崩壊速度を時間的に見ると3ヶ月もすると土に帰っちゃうみたいだね。



『今まで集めた情報で大体の会話は出来ると思うんだけど、キシャールは逐次補正をたのむよ』


[了解です、マスター。

 ・・前方の樹上に生体反応が2・・]


『♪やっとご対面かね~。

 第一村人発見っと!危ない危ない♪』


 威嚇だろう、進行方向の地面に槍が突き立った。

 姿は見せず、怒鳴り声だけが響いた。


「何者だ貴様?

 見た処、ガアでは無いようだが?」


『こんな可愛い娘ちゃんを捕まえて、奴らと一緒にして欲しくないネ。

 あたしゃ旅の医者だよ。

 森に薬草を探しに来たのさ・・』


「ここから先は、通す訳には行かん。

 引き返せ!」


『困ったね~、そうだ病人は居ないかい?診てあげるよ。

 その代わり薬草探しを黙認してくれると有り難いね~』


「・・チョッと待て、村長に確認する・・」


[(生体反応1つが移動を開始しました)]


『分かったよ(そのまま監視しておくれ)』


 暫く待つと・・。


[(生体反応が3つ接近してきます)]


 ザッザッザッと草むらを掻き分けて、馬のような動物に乗った2人の人間が現れた。


「黒い獣に乗った医者というのはお前か?子供にしか見えんが・・」


『見掛けで判断すると損をするよ。

 これでもあんたよりは年上だよ、敬いな♪』


「フンッ、口では何とでも言えるからな・・まあ良い、付いてこい・・」


『はいよ』


 馬?の後を付いてゆくと、森の中に巨大な地割れがあった。

 そこにはスロープが作られ、地下に下りて行けるようになっていた。

 20mほど降りると、上からは見えないように巧妙に洞窟が掘られていた。

 住居には、女・子供が多数居りこちらを恐気にうかがっている。

 馬?から降りた2人組みにならってあたしもキシャールから降りて一撫ですると、キシャールは[ナァ~ン・・]と鳴いてその場にうずくまった。

 その様子を見ていた1人が声を掛けてきた。


「その獣は繋がなくても危なくないのか?」


『頭がいいから大丈夫、危害を加えなければ危険はないわ』


「・・こっちだ・・」


 付いてゆくと妊婦が居るようだ。

 既に臨月を迎え、陣痛も始まっている。


『・・お湯を沸かしな、なるべくたくさん。

 それからあたしの(カバン)を持ってきな。

 急ぎなよ!』


「ああ!」


 案内してきた男は、駆け出していった。


『手の開いてる女は、手を貸しな!

 そして、自分の時に役立つから見ておきな。

 男と子供は出ておいき、あんたらの見るもんじゃないよ!』


 あたしは、光る手をかざしてその場を滅菌した。

 腕のバングルから見えないように消毒薬を噴霧。

 手のひらから紫外線を出して殺菌を行った。

 一番年かさの女が鞄をかかえて来たのを受け取り、妊婦の様子をうかがう。

 両手で触診しながらスキャニングを開始、多少栄養状態が悪いが幸い感染症にも掛かっておらず、母子ともに異常なし。

 ここは、オーソドックスに「ヒーヒーフー!」の呼吸法でイキんで貰おうかね。

 何故かそこに居る全員が「ヒーヒーフー!」と息を合わせている姿に、あたしゃチョッと笑っちまったよ♪


「オギャー!」


 生まれたのは、大きな女の子だった。

 念の為に紫外線殺菌した産湯につけて、身を清めてからお包みに巻いて母親のもとへ。

 出血も許容範囲内、既に処理は終わらせた。

 そして、これらの手順をそこに居る女達に教える。

 清潔にすることの意味と、お湯は一度沸騰させた物を冷まして使う事。

 水でうめてはいけない事などなど・・。


『ふ~、こんな処かね』


「ありがとうございました、何と御礼をいっていいか・・」


『あんたは、運が良かったんだろうさ。

 こんな日も有るさね。

 さあ、お祝いだよ♪』


「「「「「わぁ~~♪」」キャーキャー♪」」」


 その日あたしは、その村で一夜を過ごした。





※ 文明の発達の度合い


 タイプ0 故郷の惑星を未掌握

 現在の地球のレベルはタイプ0.73 

 タイプⅠ 故郷の惑星を掌握

 地球の黄金時代はここを目指すところから始まる

 タイプⅡ 故郷の恒星系(地球の場合は太陽系)を掌握

 この辺が連合加盟星系の中心と思われる

 タイプⅢ 銀河系全域を掌握

 連合のトップクラスはこのレベルか?

 タイプⅣ 宇宙全体を掌握

 創造主や宇宙皇帝のような存在?

 タイプⅤ 複数の宇宙(並行宇宙)を掌握

 日本の超絶霊能巫女が交渉したという異次元の超越存在?

 タイプⅥ 全次元を掌握し、宇宙の創造さえ可能

 ここが地球人の認識している全能神レベルか?




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