1-06 大掃除1
自己診断と簡単なキシャールのメンテナンスを終えたあたし達は、再びアンドロメダに向けて移動を開始した。
しばらく進むと必死に逃げて征く3隻に追いついたので、ステルス状態で分からないようについて行った。
奴ら、何度か亜空間ジャンプを繰り返して、やっとたどり着いた惑星に下りていったんだけど、そこは前線基地の一つのようだ。
自称覇権国家を名乗るだけあって、支配下に置いている星が18ほど有り、その一つのようである。
それにしてもあんなお粗末なレベルの亜空間航法を常用しているとは、びっくりしていたところだ。
付け回して分かった事だが、酷いなんてもんじゃない欠陥品である。
使い続けると、生物として死に至る程の急激な変異を引き起こすレベルだ。
重力場なりで常時シールドを展開出来れば回避できるが、そんな事をしている様子は微塵もなかった。
平気であのまま使っているのだとすると、あの航法に特化した生き残りが進化、または退化した種族なのかしら?
『まずは、あの星に探査プローブをバラ撒いて情報収集だね。
キシャール、まかせたよ・・』
[アイアイ!マスター。
インセクター、射出します。
取り敢えず1万ほど放しますね~]
キシャールの鏡面装甲が波打ち、穴が100個口を開けた。
そこから、大気圏投下用と思われる30cmほどのカプセルが一度に放出された。
カプセルは、惑星全域に満遍なく広がり下りてゆく。
高度1万mに達すると全てのカプセルは弾け、それぞれ100匹のハチ型プローブ【インセクター】をバラ撒いたのだった。
◆
苦虫を噛み潰したような顔で、モニターを睨みつけるドクターアン。
その視線だけで人を殺せそうだ。
[これは、酷いですね・・どうしますか?マスター]
占領下に有る惑星の知的種族は、奴隷狩りに晒されていた。
拐われた適齢期の男女は、奴らの繁殖に使われていたのだ。
どうも自分達にはオスしかおらず、もとは同性生殖で増えているらしい。
奴らの母体になるには、性別はあまり関係ないらしいのだ。
しかし、異種族の男は出産に耐えられず、一度の出産で死に至る。
悲惨なのは女で、死ぬまで何度も奴らの子を産まされるのだ。
『こんな傍迷惑で歪んだ生物は、存在その物が害悪だ。
全部潰すよ!問答無用だ・・』
[どんな手を使います?数がゴキブリ並ですが・・]
『そうだね・・奴らにだけ感染するウイルスを撒こうかね。
幸い奴らの遺伝子構造は、ハーフが出来ない。
変異の影響で、他者の遺伝子は排除される仕組みだけど、そこがウイークポイントでも有る』
[致死率100%の特別培養ですね!24時間ください。
楽には殺しませんから・・うふふふ♪。
そうですね~全身の神経を逆なでするなんてどうですか?
痛覚が麻痺するのではなく、針で刺されるように全ての神経を過敏にしてやりましょうよ。
全身腫れ上がって、何も出来ずにショック死しますよ♪]
『良いじゃないか♪
奴らの優性遺伝子にだけ作用して・・そうだね、ウイルスのアポトーシスタイムは半年に設定しな!
そこで様子を見て、生き残りが居たら安心したところに第2弾をバラ撒くよ♪』
[鬼ですね♪]
『ドクターとお呼び♪』