1-02 イタダキマス!
『それにしてもキシャールにしては、随分とゆっくり飛んで来たんじゃないかい。
アンドロメダまで普通なら40年掛からないだろうに、どうしてまた250年もかけたんだい?』
[確かにわたしらコアシップなら、無補給メンテナンスフリーでどこまでも飛べますけれど、なんせ私は試作艦ですし、それにマスターにア~んな事やコ~んな事をされて体中いたる処を陵辱されてお嫁に行けない身体にされてますから、どこで不調が出るか分からないじゃないですか?安全第一ですよ♪]
『いま、おかしな比喩が入らなかったかい?まあ良いや、キシャールの話だと250年ずっと飛んでたんでしょ。
どっかで一度オーバーホールしとかないとね~』
[そんな都合よく・・って、マスター進行方向7日の位置にデブリ帯?発見・・でも・・]
『どうした?』
[もうすぐアンドロメダなんですけど~、この辺に隕石群なんてあるはず無いんですよね~。
それに・・どうもこれ天の川銀河方面に動いてるっていうか~・・]
『デブリ帯って事はそれなりの数だって事だな。
宇宙船の可能性は?』
[戦闘艦の可能性98.1%、トゲトゲがいっぱい生えたウニみたいなのが団体でこっちに向かって来てます。
生物には見えませんけど、どうします?]
『相対速度を合わせて位相空間に転移。
近寄って、様子を見ようか。
この先に行かせるのが不味そうな連中なら、掃除していこう。
オーバーホールする前の全力運転みたいなノリでよろしく~♪』
[オ~~♪]
◆
ジャジャ~ン!結果発表。
様子見に連絡用の艀を目の前に飛ばしたら、餌を追いかけるバラクーダの群れのように追いかけ回しはじめ、問答無用で撃ってきた。
あれは、見逃したら絶対に駄目な奴じゃん!
普通、何かしらの意思疎通を図ってから、やり過ごすなり拿捕するのが理性的な知性体の対応だよね~?
君たちは、アウト!
『殺っておしまい!』
[それじゃ~逝きますよ~。
オールウエポン・フリ~♪
オラオラオラ~♪]
それから始まったのは、一方的な殲滅戦でした。
相手の攻撃は、その尽くがこちらをスリ抜けてしまい、こちらの攻撃は薙ぎ払え状態!
ものの5分ほどで最初1500隻は存在したイガ栗の様な宇宙船は、3隻にまで撃ち減らされて行きました。
この3隻も最初の一撫でした時に、よろける様に後退した奴です。
もうそろそろ良いでしょう。
[マスタ~、あれ逃しちゃうんですか?]
『どうせ、キシャールなら追いつけるでしょ。
泳がして基地なり本拠の星なり見つけるわよ。
さっきトレーサー飛ばしたのは分かってるんだからね!』
[♪流石、マスター分かってる~。
それじゃ、火事場泥棒と洒落込みますか。
使えそうなのが残ってると良いんですけど・・]
『取り敢えず電磁ネットで掻き集めて、資材化しちゃいましょう。
イヤ~、材料が向こうから来てくれて助かったね~♪』
[お食事お食事、250年ぶりのお食事♪]
『食う前にデータ取れよ~!』
[ハ~イ♪イッタダッキマ~ス・・]
・・バリ・ボリ・バリ・ボリ・シャクシャクシャク・・
どういう仕様なのか?キシャールが物質を取り込む時に船内に響く効果音は、如何にも骨や野菜を噛み砕く音だった。
しかし、美味そうに食うなあ~、何かあたしまで・・お腹が減った!