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2-03 世の成り立ち




 ジャン爺さんが云うには、魔法(エルフ)鍛冶(ドワーフ)がこの世界の上流社会におり、基本短命な種族は労働力として生きている。

 魔素体質の高い者達が、王族や貴族として国を支配しているのが基本らしい。

 共和主義的な国もあるが、魔素体質の高い者達が政治家や軍人というのは当たり前の事らしい。

 そして教会のトップにはハイエルフが君臨しエルフやハーフエルフ、少数の魔素体質の高い者達が、教会を運営している。

 教会には、聖堂騎士団が組織されており、武闘派のダークエルフがトップを務める。

 かたやドワーフは、鍛冶やモノ作りに関係する物の全てに浸透しており、宇宙船までドワーフの作品だというから笑ってしまう。

 あの欠陥品を作ったのは、もしかしてコイツ等か?

 町並みが何か古臭いのも、建設業者を牛耳ってるのがドワーフだからって話だがこの辺は定かではない。



『ふ~ん、それで?あんたは何がしたいのさ・・』


「実は、水面下でスラムを含んだ地域の再開発計画が進んでいる。

 図らずもそれを阻んでいるのがアン先生、あんたなんだ・・」


『うん、知ってるよ!生活環境の改善は、医者に課せられた命題でもあるからね。

 ここに来てからは衛生的な環境になるように、スラムや下町の美化運動を進めているよ。

 特に町のチンピラは、潰しが利いて良いね~♪

 ゲンコツ一つで、何でも言うこと聞くから重宝しているよ』


「ああっ、この町が出来た頃のように綺麗になったって(ちまた)の評判だ。

 それで再開発計画に待ったが掛かった!」


『良いことじゃないか、何か問題が有るのかい?』


「再開発の利権に群がってた連中が、テロに走り始めやがった!」


『最近の事故はそれが原因かい?(知ってたけどね・・)

 傍迷惑(はためいわく)な話だね~』


「しかし、怪我人をあんたが治療費も取らずに治しちまうもんだから、テロの効果も薄まっちまってる始末だ」


『良い事じゃないか♪

 何処(どこ)かに問題でも出たのかい?』


「今までだったら、死人が出ねえ様に俺達のコントロールも効いたんだが・・」


『あんたらのコントロール下から離れたって事だね、そうすると・・』


「無差別にテロが始まっちまう。

 そうしたら戦争とおんなじだ」


『フムッ・・』


「それで先生に知恵を借りに来たって訳だ。

 あんたにも、少しは責任が有るだろう?

 ここまで(こじ)らせた元凶のあんたなら・・」


『あたしゃ当たり前の事をしてるだけだよ。

 か弱い幼女に、何をさせようって云うんだい?』


「基本、エルフやドワーフは自分たちの興味のある物にしか関心は示さねえ。

 今回も、一部の欲の皮の突っ張った人間の仕業だ」


『犯人が分かってるんなら、そいつをトッチメレば良いじゃないか。

 騎士団は何をしてるんだい?』


「聖堂騎士は別として、街の騎士団は奴らの使いっぱしりに成り下がってる。

 だからテロの捜査も、禄に行われちゃいね~んだ。

 今まではそれでも、怪我人止まりで済んでたんだが、これからはそうは行かねえ」


『腐ってるね、まったく。

 それで、何処を引っ張り出せばいいんだい?

 それを頼みに来たんだろ』


「分かってくれたか♪

 俺は、こう見えて顔が広いんだが(めん)が割れてる。

 上の方に嘆願になんか行った日には、握りつぶされて明日のお天道様も拝めねえ。

 そこで、先生の出番だ!」


『勿体ぶってないで早くお云い!ぶっ飛ばすよ・・』


「まあまあ・・。

 多分だが、近い内に聖堂騎士団を引き連れて教会の連中が乗り込んでくるはずだ。

 俺が今朝、教会に投書してきたからな・・」


『なんて書いたんだい?悪い予感しかしないね~』


「スラムに天使は舞い降りた!神様、ありがとうございますってな♪」


『・・一度、息の根を止めようか・・』


「死んじまうからヤメてくれ、この通りだ!」


『やめな!そんな軽そうな頭下げられたって、何の有り難みも無いよ。

 あたしを巻き込むのが前提じゃないか!ったく、面倒くさいネ~』


「今までは、スラムや下町には手を出さねえのが教会の仕来りみてえなもんだった。

 でも今回は、知らんぷり出来ねえはずだ。

 そして、奴らは教会には手が出せねえ。

 俺が頼んだ所で教会は動いちゃくれねえ。

 あんたの力で何とかして、スラムに教会の出先機関なり何なり引っ張ってきちゃくれね~か、頼む!」



 面倒くさい事になってきたね~・・






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