1-6 ボスを倒す(とりあえず説得)
はい遅れました。どうもすいません。
近づいてみると、どうやら部屋のようだった。
……よし。入ろう。
覚悟を決めて部屋に入る。
すると、少しだけ明るくなった。
噂通りならここに巫女がいるらしいが……
俺は奥に黒いナニカがあるのを発見した。
近づいて見ますか。
黒いのはどうやら棺のようだ。縁起悪ッ!
中を見ようとすると、後ろに誰かが現れた。
『姫に近づく者よ。そなたは姫が認めし者か?』
男性。青い服を着ていて、外見年齢は青年。髪の毛は緑。超絶美形。黒い角と羽が生えている。一番羨ましいのは長髪なのに男性だとわかる容姿。
「……姫?」
『その通り。姫は哀れな王族に封印され眠りについている』
「姫」が噂の巫女のようだ。
哀れな王族ね。まあ邪神の場所が不明とか言ってるやつらだもんな。仕方ない仕方ない。
『姫と共に歩むだけの力があるか、試させてもらおう』
……とりあえず言葉で説得しよう。攻撃手段があまりにも乏しい。
「あの……俺はカズヤです」
『サタンという。魔界の皇だ』
げぇ。超大物じゃん。無理無理。勝てっこないって。
話し合い路線一択じゃん。言葉には応じてくれるみたいだし、これはチャンス。
『なるほど……面白い。手加減はしよう』
待て待て待て。心が読めるのはまだいいとして、戦うのは危険だ。いくら手加減するったって、俺の攻撃手段がないのだから勝てっこない。
……というわけで言葉で語りましょう。
『ふむ、実力をわかっている故に、か。それとカズヤ、その腕輪を貸してみろ』
俺は腕輪を外して渡す。
『……これでよし。その腕輪を付けているときは“ヘルファイア”が使えるようになる』
マジで!? サタン様感謝! ……あ。
『では、始めるとしよう』
こうなんのか!
忘れてた。攻撃手段が少ないから話し合い路線にしたんだっけ。
はぁ……仕方ない。
「<天候変化>変化:酸性雨」
うーん。あんまり効いてないな。じゃあちょっと借りて……
「<ヘルファイア>!」
おお、炎が黒い。っと、うまく誘導して当てないといけないな。
『<ヘルフレイム>』
強化版!? ……そりゃあるか。
「<転移>!」
あっぶね! 服の替えはないんだからしっかり避けないと。
「<転移>!」
さっき避けたよな!? ……熟練度が高いのか?
ファンスにはステータスボードには表示されないが熟練度というものがある。
熟練度が高いと魔法の軌道を曲げたりできるらしい。
高速移動の倍率上限上昇もその一つだ。
はぁ……決着つかない。バ難民は辛いぜ。
「<ヘルファイア>! <転移>!」
生み出した炎を体内に直接転移させる。
それが効いたのか、サタン様は消えた。
『なるほど、単純な火力不足か』
「YES……どこ?」
『迷宮の最奥からだ』
英語になってしまった。
というかそんな場所があるのか。知らなかった。
……最奥ここじゃなかったっけ……
『人には理解らぬ領域だ。迷宮の王の住居でもある』
「そんなところがあるんですか……」
勉強になる。ファンスはまだまだ知らないことばかり、一つづつ知っていこう。
『……そろそろ姫が目覚めるころだ。大方戦闘に反応したのだろう』
「戦闘狂か」
ついツッコんでしまった。
『戦闘は邪神を救う鍵なのだ、仕方あるまい。その腕輪は持っていくとよい。カズヤの役に立つだろう』
「助かります。……鍵って、どういう……」
俺の言葉が届く前に、消えてしまった。
鍵、ねぇ。……戦ってかつての心を取り戻すとか?
……嫌だな。というか邪神の居場所も知らないんだけど……巫女が知ってるか。
さて、お披露目(誰に?)といきましょうか。
俺は棺に近づいて行った。
開けたら呪いとか作動しませんように。
次回は姫が登場です。お楽しみに。
(頑張って書こう)