1-5 殺人方法は落とし穴
一回目ー!
もう第一章も終盤です。
さて迷宮探索の中身は!?
この迷宮は全部で100階層。
現在は一人で10階層くらいまで行ってる。
……予定と違ったなあ。
予定ではさっさと帰る予定だったのに。
勇者達が入ってきて戻るに戻れなくなった。
はぁ……
「なんか……武器欲しいな」
俺の今の筋力(STR)は25以下。短剣すら重くて持てない。
うーむ……
「……お前誰だ」
猪の魔物を転移で避けつつ下に向かう。
知識不足が目立つな……誰かいないかな。魔物のことよく知ってる人。
「……モンスターハウスか」
正直こんな上の方の階層にあると思ってなかった。
あの異常に魔物が湧くダンジョンRPGお馴染みの部屋だ。
地図に人間の反応がある。
地図化って楽だな。パッシブだし、迷子にならないし。
「……ん? 誰かいるな……ああ、順也達か」
他の奴らの名前知らないな……
勇者組でいいか。間違いじゃないし。
とか考えていたら見つかった。
「「あ」」
いまさら擬態使うわけにもいかないしな……どうすっか……
なんとか誤魔化すか。
「<獄炎>!!」
「<転移>」
魔物の方に飛ばしておく……って危ねえなオイ。
「何が目的だ」
「そっちこそ」
「俺か? そこの宝だ」
「ああ、それならあげるわ。これよ」
腕輪だ。まあせっかくくれたしここは貰うことにしよう。
「……で、お前の目的は?」
「私? 杖よ」
「それならこれだ。さっき手に入れてな。やるぞ」
「ああ。宝の持ち腐れってやつね。ありがたくいただくわ」
「……数家、本当にそれだけ?」
話がひと段落したところで聞いてきたのは順也だ。
「……さすがにバレるか。落とし穴知ってるか?」
「……なんでそんなことを言わなくちゃいけないの」
あーこれは殺る気満々ですわ。俺は噂を調べたいだけだってのに。
仕方ない。
「<天候変化>変化:酸性雨」
俺の数少ない攻撃技だ。指定範囲に酸性雨を降らせるもの。
「さて、俺はここで退s──」
「さ、せるか──<火球>」
火球が俺を打ち抜いた。
心臓付近を焦がし、風穴を開ける。
「え」
まさか避けないとは思わなかっただろ?
焼き焦がされた血管は冷やされ、心臓は作り直される。
この程度じゃ体は冷えないし、血液も止まらない。
「せ、いっ」
俺の体にナイフが刺さる。そのまま俺を蹴り飛ばし、ナイフは体から離れる。
「「「あ」」」
蹴り飛ばされた反動で、俺は転がり──
落とし穴へ、落ちていった。
──長い。
落ち始めて10秒経つ。まだ下は見えない。
30秒。地面が近づいてきて──
「いっづあ!?」
足首を挫きました。なんちゃってではない。
あー痛ぇ……
真っ暗で、何も見えない。しかし地図は機能している。
ここは……100階層。100だって……えぇ!?
「直通かよ!?」
はぁ……足も治ったし進むか。
地図によると一本道。このまま進もう。
目が慣れてきた……まだ? 遠くね?
あ、向こうの方がちょっと明るい……行ってみるか。
このあと15:00、18:00に投稿予定です。早めるかもしれません。