2-2 リア、帰還。
始めてポイントが入りました!(狂喜乱舞中)
今回はリア視点です。
──Side:アイリューリア
翌日。
私が目を覚ますと、扉の向こう側から美味しそうな匂いが漂ってきた。
この小屋は調理場と食卓が一緒になっていて、左右に部屋が一つづつある。私が使っているのが右の部屋で、カズヤは左だ。
いつも私より先に起きているカズヤだが、スキルの訓練ばっかりで、朝食の準備はほとんどしない。
今日はいつもより早く起きたのかな、と思いながら真ん中の部屋へ向かう。
そこでは、かなり量ののお皿が並べられていた。
「……なにこれ」
「……作りすぎた」
大体が白いが、中には青かったり黄色い皿まである。その皿にはいろいろなものが置かれている。
話を聞いてみると、故郷の料理が食べたかったらしく、狩りをして、採取をして、皿を作り、調理したという。作っているうちにいろいろ試行錯誤した結果があれらしい。
この森に生えている「兄香」という植物が故郷の「ショウガ」なるものに似ているらしく、勢いで作ったら他の料理も作ってみたくなったらしい。
「ふうん」
「いや……使え……ないな」
話をしているうちにこれらをどうしようか考えているらしい。ずいぶん器用なことができるようだ。
「……とりあえず、食べる。お腹空いた」
「……そうしよう」
しばらく、もぎゅもぎゅと食事音のみが響いた。
この後は、ギルドに行って占運神様のお告げを伝え、がっぽり儲ける。あとは、そのお金でカズヤの冒険者登録をして、怠惰の森の依頼を全部受ける。クリアすれば、かなりの量のお金がもらえる。
(俺そんなことしてないけど)
占運神様は貢げばそれなりのことをやってくれる。それに暇神の中の一柱。問題ない。
暇神は信仰の薄い神様の俗称のようなものだ。信仰が薄いゆえに好きなことをやって、教会はともかく民衆にはそれなりに人気がある。
だから占運神様や天海神様が言うことには一定の信頼がある。
(一定て……)
噂されている襲撃が起こるのならもう少し信頼性は増えるだろう。
(……降参。襲撃は王都の南、怠惰の森方面から。一週間以内)
あとはギルドに売るだけだ。よし。
(だから言ったろ。仮にもアイツの妹、口は巧いほうだって)
あれは範囲外。選択肢がない。そういう天海神様も吊られたほう。
(仕方ねーだろ!……あのマカロンは反則)
そんな風にスキル<交信>を使って話していると、カズヤが話しかけてきた。
「今日は?」
「ギルド行く」
この後の予定を話す。
そして、ちょうど食べ終わったのでギルドに向かうことに。
「大丈夫?」
封印の件を気にしているのか、カズヤがそんなことを言ってくる。
私はコクリと頷く。
王都、特にギルドにはそんな話を信じている人などいない。
私が伝える情報には正確性があるし、仮にも冒険者なのでパーティを組んだことのある人もいる。
ギルドに着くと、早速受付嬢が話しかけてきた。
「リアさん!?無事だったんですね!」
彼女はマリー、古参で仕事が早いと人気の受付嬢だ。
猫人族ということもあり、珍しさの面でも彼女の受付を狙う者は多い。
そんな彼女が声を上げた。さらに聞き覚えのある名前ということもあって、瞬く間に大勢の人に囲まれてしまった。
「おお、帰ってきた」「さすがリアちゃん」「さすがギルドのアイドル」
「アイドルになったつもりはない。ギルマスは?」
ちょうどその時、奥の部屋からギルマスが出てきた。様子から見るに、マリーに呼ばれたようだ。
ギルマス、またの名をロバート・アスペンという。とても信頼できる顔つきではないが、中身は王の言葉にも真っ向から反論できるような精神の持ち主だ。
「おお、久しぶりだな。異常はないか?」
「ある。一週間以内に南……怠惰の森方面から、邪神の魔物の襲撃」
邪神の魔物は普通の魔物と違い、群れで統率された動きをしてくるのでとても厄介だ。
そのあたりの情報をまとめて話すと、すぐに情報をメモり、内容を吟味する。
そして、かなりのお金を手に入れることができた。
「合計、26220キアだな。他に用事は?」
「そこの、壁にへばり付いてるカズヤの登録をよろしく」
【通常スキル】誰でも覚えることのできるスキル……ですが、適性がないと使えないこともあり、多くの人達からはあまり重要視されていないものです。あまり重要視しません。
ポイントとかブクマとかくれてもいいのですよ?|д゜)チラチラ