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僕がヒーローになれないワケ  作者: おねこいも。
第一章 僕はヒーローになれない
1/6

01

 異世界に転生したら強くなって異性からもモテてハーレムを作れるかな?


 桜花おうか ぼくは、本気でそんなことを思っていた。

 だけど現実は厳しく。


 転生しても人間になれる保証はなく。

 異性から好かれてもどうしたらいいかわからない。


 ふと冷静になって考えてみればそんなことに気づいた。


 墨、14歳の冬。


 墨は今、史上最悪の事態を抱えていた。


「君たちに選択肢をあげる」


 同じ年くらいの少年がそう呟く。


「ああん?」


 そういって赤髪の少年、ジル・ジルベルトがその少年をにらみつけている。


 なぜこんなことになったのか。

 墨は冷静になって考える。

 でも、答えは出ない。


 いつものように墨は中学校の屋上でジルたちに殴られサンドバックのように扱われていた。

 痛いけど我慢して殴られていればその場は収まる。

 そう思っていたら……


 突然、この少年が現れこういった。


「君たちに選択肢をあげる」


 当然のごとくジルは機嫌を損ねる。


「ああん?お前誰に向かって口を利いてんだ?」


「ジル・ジルベルト」


 少年があっさりとと答える。


「そうだ、ジル・ジルベルト様だ!

 あのダーク・グラムのギルド長!デスペル・ジルベルトのが息子!ジル・ジルベルト様だ!

 今すぐ謝るのなら見逃してやる!」


 ジルがそいって少年の方を見て笑う。


「僕に撃たれて死ぬか……

 それとも飛び降りて死ぬか……

 どっちがいい?」


 しかし、少年は臆しない。


「んなもん、どっちも嫌に決まっているだろう?」


 ホウキ頭の少年、ジャキ・ジャッキンがそういった。


「どうしてこんなことをしてるの?」


 少年がそういうとジルがケラケラと笑う。


「知っているのか?

 そいつの親父はヒーローに殺されているんだぜ?

 母親も殺されている。ヒーローに殺されるってわかるか?わかるだろう?

 つまりは、悪人なんだ。

 こんなヤツ生きている価値ないんだよ!」


 そういって唾を吐く。

 墨はつらくなった。

 両親のことは心の傷でもあった。

 少年がいう。


「この子はこの子、父親は父親でしょ?」


 少年の言葉にジルがイラつく。


「一緒だよ!

 犯罪者の子どもも犯罪者なんだよ!

 そんな遺伝子残しちゃいけないんだよ!」


「そっか」


 少年は頷く。

 墨は思った。

 自分がこの場で飛び降りたらどうなるんだろう?


 だから飛び降りてみた。


「バイバイ」


 そう言い残して……


「あーあー。

 サンドバックが一個消えた」


 ジルがそういった。


「どうするの?」


「なにがだ?」


「下で潰れたトマトのようになっているあの子……

 確実に生きてないよ?」


 少年の言葉にジルが笑う。


「ああん?言ったろ?

 犯罪者の遺伝子は残しちゃいけねぇ。

 俺たちはその遺伝子を潰した。

 つまり讃えられても咎められることはねぇ!!」


「答えは出たね」


 少年が小さく笑う。


「ようこそこちら側へ……」


 少年は、そういうと屋上から飛び降りた。

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