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僕が世界を救うまで  作者: 思いっきり人間
3/3

契約の日

「山田完介くん。君には、世界平和を実現してもらうことになった。」

「な。なんでですか?」

「まあ、ご両親とそういう契約で君の命を助けたから。」


?????


どういうことだ。

全く、頭が追いついて行かない。


「まあ、知らなくて当たり前だよ。君は5歳の時、一回本当は死ぬ運命だったんだ。それを逃れようと、様々な秘術に手を出した君のご両親がたどり着いた最後の頼みの綱、それが私、管理人「鈴木太郎」なんだ。」


もっと、かっこいい名前にして欲しいんだけど。一応宇宙の管理者なんだよね。


てか

「名前変えたほうが」

「なんだ、そんなことを言うなんて契約の選択肢を狭めようかな」

「え?なんですか契約って」

「君には、世界平和を実現してもらうにあたり、「この私とコンタクトを取れる」という世界で最も優れた力を使えるようなってもらいたい。それも、今すぐにだ。そのためには契約をする必要がある。」

「はあ」

僕の反応を無視して宇宙の管理人とやらは続ける。


「契約の内容は3種類。


1つ目は、豚の契約。人間をやめて豚になる代わりに、私に24時間連絡をとり、さらに私に24時間いつでもマッサージをさせることができる、お得な契約だ。」


「絶対に嫌です。」


「むむ、欲張りだね。二つ目は、体の契約。五感のうち3つ、視覚、聴覚、嗅覚と両足と左腕を私に奪われる代わりに、私と24時間連絡を取ることができる、かなりお得な契約だ。」


「それも嫌です。」


「そうかね。では、3つ目だ。3つ目は、異性の契約。君は、この存在するメスやゲイその全てから絶対的に拒絶される。その代わり、私に1年に一回私に連絡を取れるという、スーパーお得な契約だ。」

胸を貼って宇宙の管理人、鈴木太郎は答える。

「その三つしかないんですか。」

半分呆れながら、質問する。

「いや最後にもう一つ選択肢がある。」

管理人は、床につくほどのびた白ひげを3つ編みにしながら言った。

「今ここで、死ぬ。」


「・・・・・・・・・」


ん?


「今なんて言いました?」


「今、ここで、し、ぬ。」

ありえん。というより意味がわからない。

なんで僕が善良に生きてきた僕が、ここで、こんな苦痛の選択を迫られなければならないんだ。


「まあ、選ぶとしたら3の異性の契約しかないと言った顔じゃの。」

「なんで、なんで僕が、なんでですか!!!!」

敵意をむき出しにして叫ぶ。


「本来だったら、君はこの後、ここでつまづき後頭部を頭で打って、死ぬ予定だった。」

「だから、なんです。」


「そして、それを追うように雛森祭や君のご両親も、天にめされるよ。」

こんなのただの脅迫だ。誰だよ。こういう時、不思議な力が与えられるって御都合主義的テンプレート考えたやつ。


「お主が世界平和を達成した暁には、契約事項は解除し、君と両親、雛森祭には、それなりの寿命と幸せを保証する。」

「くっ」

「どうする?」


穏やかな微笑みだ。神々しいとはこのことをいうのだろう。そのくらい慈悲深い笑み。


「僕の寿命を伸ばすのに、そんなに重い契約と、世界平和の実現なんて、試練が必要なんですか。」

「必要じゃよ。」


宇宙の管理人は穏やかに語る。


「寿命は、あらゆるものに宿る絶対不可侵の因果律じゃ。それの変更には、大きな代償を伴う。むしろこの程度で済ますことに感謝して欲しいものじゃ。」


深く息を吸い、こちらをじっとみる。


「さて、どうする?」


3しかない。3しかないよ。でも、3を選んだら、俺が人生を生きる意味は消失しまう。女の子と戯れる日々。女の子とお話しする時間。女の子と見つめ合う空間。どうする?どうしたらいい?

でも、親父、お袋、そして、祭ちゃん。


「わかったよ。異性の契約を受けるよ。」

「口の聞き方をわかっておらんようじゃの。豚の契約にしたいのかのう?」

「お願いします。異性の契約にさせてください。」


沈黙の後、ニンマリと笑って宇宙の管理人、鈴木太郎は言い放つ。

「よかろう。では、契約成立じゃ。世界平和実現、頑張っての。」


こうして、僕は妖精、鈴木太郎と契約を交わした。


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