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Time that has been loved  作者: 薫
8/12

7話

家に着いた俺はベッドに腰掛け渡された懐中時計を眺めていた。


「時間が戻るってマンガみたいな事ありえるのかよ」


そんな都合の良いものが世の中に有るとは到底思えなかった。


だけどそれならさっきの出来事の説明をどうすれば出来るかと言われたら無理に等しい。


話した所で虚言癖と言われるのがオチだろう。


「騙されたと思ってやってみるか」


信じたわけではない。


だけどもし時間が戻れてあの事故をなかった事に出来るなら。


由依が生きる未来を作る事が出来るなら。


「確か戻りたい時間を思い描く言ってたな」


それならあの事故の日に戻って由依を救えばいいだけだ。


『1度戻った時間より昔には2度と戻れませんのでぇ』


全てを鵜呑みするわけじゃないが確実に由依を救えるわけじゃない。


だったらもう少し遡ってみようと思う。


戻りたい時間を思い描く。


「………」


「やっぱり嘘か…」


中途半端に期待したからか妙な脱力感に襲われた。


「だよな…」

「そんな訳ないよな…」


そのままベッドに倒れこみ目を閉じる。


「なんかすごい疲れた…」

「このまま目が覚めなかったらいいのにな…」


数分もしない内に俺は眠りについた。


「奏起きなさい!」

「早くしないと遅刻するわよ」


母さんの声で目が覚める。


「おはよう」


「早く支度しなさい」


「今日何かあったっけ?」


「あんた学校でしょう」


「今冬休みじゃん何言ってんの母さん」


「あんたこそ何言ってんの?寝ぼけてないで用意しなさい」


母さんが言ってる事がよく分からなかった。


不意にカレンダーに目をやる。


「えっ!10月?」


「あんた今日おかしいわよ?熱でもあるんじゃない?」


「今日は12月26日だろ?」


「夢でも見たんじゃないの?それとも病院行く?」


「いっ、いや、大丈夫」


言われてみたら12月ほど寒くもない。


本当に時間が戻ったと言うのか。


「あっ、そうだ!」


懐中時計を俺は起きてから見ていない。

もしかすると昨日の出来事もその前の出来事も長くて悪い夢だったのかも知れない。


急いで部屋に戻る。


「!!」


確かに時計はあった。


机の上に昨日置いたままの状態で。


「嘘だろ…」


携帯を開く。


「10月3日…」


俺が戻りたいと願った日だ。


「本当に時間が戻ったのか…」


思い返せば今着てる服も寝る前に着ていたのと全然違う。


願ってはみたものの本当に起きてしまったらやはり戸惑ってしまう。


もう1度携帯を見る。


「7時30分か、本当に10月3日なら確かもうすぐ」


呼び鈴が鳴る。


「おはよう、上がって待っててちょうだい」


「おはようございます、おばさん」


「!!!」


間違いない。


この声は由依だ。


聞き間違えるはずがない。


2度と聞けないと思っていた声に反応し俺はすぐ部屋を飛び出した。


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