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Time that has been loved  作者: 薫
7/12

6話

「サンタ気取りかよ、それなら赤い服で来い」


皮肉を言いながらも後ずさりしながら距離を置く。


「ははっ、サンタですかぁ」

「ならサンタって呼んでくださぁい」


この状況どうすればいいのだろうか。


俺は変な奴に絡まれているが生憎ここは人が多い。


走って人混みに紛れ込めば巻くことは出来るだろう。


そうと決まれば実行に移す。


「あんたと話すことはないし、プレゼントも要らねぇよ!」


そう言い放ち振り返った時違和感を感じた。


「!!!」


人が誰1人いない。


有り得ない。


ましてや今はパレード中短時間で全ての人がいなくなることがあるのか?


「どうかされましたかぁ?」

「今はわたくしとお兄さんだけですよぉ」


意味がわからない。


どうすればこんな状況になるんだ。


また頭の中がぐちゃぐちゃになりそうだ。


とりあえず逃げるのは諦めた。


「おやぁ?やっぱりプレゼント欲しいのですかぁ?」


「いや、もう訳がわからないから諦めた感じだ」

「あんた何者なんだよ」


「ただの人間ですよぉ」


首を曲げニタァと男は笑う。


「なら何の用だよ、プレゼントとか言いながらそれで俺を殺すつもりか?」


「言いがかりですねぇ」


そう言うと同時に男は目の前に居た。


「なっ!」


「これぇ、プレゼントですよぉ」


男はニタァと笑いながら懐中時計を差し出した。


「時計?」


「そうですよぉ、でもただの時計ではありませんよぉ」


「どう言う意味だ」


「時間を戻せるのですよぉ」


「馬鹿にしてるのか?」


「心外ですねぇ、でもそんな物があったら欲しいと思いませんかぁ?」

「人だったら誰でもぉ、一回は思ったことあると思いますがねぇ」


男は時計を俺の目の前でブラブラさせながら笑う。


「だったらあんたが使えよ」


「わたくしにはぁ、必要ありませんからぁ」


気づくと手には時計が握られていた。


「!」


体が動かない。


これが金縛りと言うものなんだろうか。


「無事プレゼント受け取って頂いたのでぇ」

「使用上の注意でもお伝えいたしますねぇ」


反論したいが声も出せない。


「先程も言った通りぃ、時間を戻すことがぁ」

「出来ますぅ」


ドヤ顔を見せつけられても今の俺には何も出来ない。


「使い方は簡単ですぅ」

「ただ戻りたい時間を思い描いてもらうだけぇ」

「あら簡単ですねぇ」


2度目のドヤ顔か。


動けるようになったら殴りたい。


「使用制限はありませんのでぇ」

「使い放題なんですがぁ」

「1度戻った時間より昔には2度と戻れませんのでぇ」

「悪しからずぅ」


次はニヤケ顏か…。


「と言うわけでぇ」

「良き人生を送りくださいませぇ」


男は指をパチンと鳴らす。


「!」


体が動く。


そして周りもざわつきだす。


先程の光景がなかったかのように人々は楽しんでいた。


「おい!あんた!」


振り返った時既に男は居なくなっていた。


夢かと思った。


だけどしっかりと俺の手には懐中時計が握られていた。

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