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Time that has been loved  作者: 薫
6/12

5話

一体何が起きたのかわからない。


ほんの数秒目を離した間にこうも世界は変わってしまうのか?


目の前にあるのはフロントガラスが潰れた車と血塗れになり、見るに耐えない姿で倒れてる人がいた。


いや、あれは由依だ。

(由依じゃない見間違いだ)

由依だったモノだ。

(たまたま同じ服を着ていただけだ)


すでに俺の頭の中はぐちゃぐちゃになっていた。


目の前で起きた事故、初めて目の当たりにする死体。


今の世の中この状況を見て冷静でいれるわけがない。


ましてやそれが自分の大事な人だったとしたら。


不意に我に返った。


由依は無事で、きっとそれは見知らぬ人なんだ。


不謹慎だがそうなのだ。


そう言い聞かせるしか俺を動かす術はなかった。


「由依!!!」


俺は出せるだけの声を出した。


「どこだ由依!!」


返事がないとわかっていながら。


目の前の現実に目を背けながら。


「由依!」


俺自身の脆さを知った。


「うわぁぁぁぁぁぁ!!!」


そこからしばらくの記憶がない。


聞いた話によると近くに居た人が通報してくれていたらしい。


俺は由依の側で泣き叫び続けていたそうだ。


相手側の飲酒運転による事故死。


かなり酔っていたみたいでなぜ事故を起こしたのかわからないらしい。


そんな奴のせいで由依は死んだんだ。


殺してやりたい。


なぜこいつが生きて由依が死ななければならない。


なぜ由依がいないのに俺は生きてなければいけない。


俺の心は既に壊れかけていた。


葬式は由依の親族と俺の家族のみでひっそりと行われた。


その後は何もする気が起きずただ毎日部屋にこもっていた。


時間は流れ12月25日。


由依と約束していた日。


俺は由依との約束の場所に向かっていた。


2人で行こうとしていた場所に俺は1人で向かっている。


「何やってるんだろうな俺…」


周りは家族やカップルで溢れてる。


「こんな中に男1人って…」

「他の奴からしたら滑稽だよな」


これからどうしたらいいのだろう。


今までのように居られるのだろうか。


「由依…」


こんな世界なら俺はもう…


「お兄さん彼女さんに会いたくないかぁい?」


肩を叩かれ思わず振り返った。


「はぁ?あんた誰だ」


黒いスーツに黒のハットを被った男がそこに居た。


「ははっ、こんばんわぁ」


見るからに怪しい感じだ。


いや、怪しい感じしかない。


「なんだよ、俺を笑いに来たのかよ」


男は帽子を脱ぎ俺に対し礼をした。


「はじめましてぇ」

「名乗る程の者でわぁないのですがぁ」

「お兄さんにぃプレゼントをお持ち致しましたぁ」


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