2話
準備を整え由依を迎えに行く。
「終わったぞ」
「奏!これ面白いね」
「だろ?ネットでは評価悪かったけど中々のクオリティだと俺は思うんだ」
「終わったらこれ貸してよ」
「もうクリアしたから貸してやるよ」
「でも昨日買ったばっかじゃない?」
「10時間もあればクリア余裕だぜ?」
「確か昨日バイトだったよね?」
「帰ってから即プレイ」
「だから寝坊するんだよばか」
今にも怒りそうな由依を急いで連れ出す。
「さぁ行きましょうお嬢様」
「この代償は大きいですわよ爺や」
間違いなく俺は今日財布扱いだな。
昨日お金を下ろしておいて良かったと普通に思ってしまう自分が情けなかった。
今日は日曜とあって人も多かった。
「ところで何を買いに行くんだ?」
「秘密です」
「秘密か」
「あれ?思ったよりも食いついて来ないね」
「なんとなく察しはついてるからな」
由依と俺は小さい頃からお互いを知ってる。
家が近所でずっと遊んでいた。
高校までは一緒だったけど大学は別々になってしまった。
離れてしまうことに不安を感じてはいたが由依は以前と何一つ変わらず接してくれている。
幼馴染みなだけで付き合っているわけではない。
由依に対して恋愛感情があるのか正直わからない。
一緒に居すぎてしまったからかも知れない。
でもあいつが…。
由依が幸せになってくれるなら何でも良いと思ってたんだ。
忘れもしない12月8日。
今日が来るまでは。