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合コンを断る手紙

12月26日


拝復

 君から手紙を送ってくるなんて珍しいですね。D君のところで働くことになったと聞いてうれしく思っています。わざわざお礼など言ってもらわなくても、大した口添えはしていません。手紙を一通送っただけです。

 さて、奇しくも君からの手紙はクリスマスイブに届きましたが、何か他意あってのことでしょうか。イブの日は平日なので、前日の天皇誕生日にデートされる方も多いようですね。G君は何をして過ごしましたか?無職ですから、何でもできたことかと思いますが。

 私もその日は世間の皆様と同様に、スポーツに音楽に美女にと多忙を極めておりました。私は朝7時に起きて洗濯機を回し、洗濯物をベランダに干してから8時半ごろ、 地元の銘菓、土門のどら焼きを二つと、梅干しおにぎりを鞄に詰め 、愛車のロードバイク“マドンナ号”に乗って厚木を出発しました。国道412号線を北上し、国道413号線(道志みち)へ入り、山中湖を経由して、御殿場へ行く計画です。

 国道412号線を走り終えたあたりで既に大分疲れていましたが、メインはここからです。国道413号に入ってすぐ、ひとまず一個目のどら焼きを食べます。餡子には刻んだ栗も入っています。血糖値は大事です。

 1000メートル級の峠を越えるのは何年ぶりでしょうか。ああ、もう一枚ギアが欲しい。と思いながら道志みちを進みます。学生の時に、一度通った時には、もっと楽だったような記憶があったのですが。

 多忙な私は16時御殿場発の特急あさぎり号に乗る必要がありました。しかし、道志みちを7割ほど制したところで、どうもこれは間に合わないのではないか?という懸念が出てきました。本当は道志の道の駅でうどんでも、と思っていたのですが、私はうどんを諦め先を急ぐことにしました。道の駅の手前で、川のせせらぎを眺めつつ、二つ目のどら焼きをかじった私は、道の駅には目もくれず、驚異的な燃費性能を発揮し、どら焼き2つで、御殿場まで走り抜けました。結果的に15時15分に駅に着きました。山中湖から先は15分ほど坂を登った後は、下りしかなかったのです。それはもう私の予想を遥かに越える下っぷりで、寒かった。

 出発まで時間があったので、私は駅前のサブウェイでサンドウィッチをかじりました。店員さんがとても可愛かった。

 あさぎり号は私を乗せて17時頃厚木へ到着しました。鞄の底で潰れていたおにぎりは自宅で食べました。

 さて、私はシャワーを浴びると、息つく間もなく、厚木サンダースネークで行われるライブへ向かいます。

 実を言うと、私はライブ(或はライヴ)というものに行ったことがありませんでした。行きたい行きたいとは思っていたのですが。土曜日にふと、行きたい行きたいと思っていたことを思い出して、そうだライブへ行こうと思い、チケットを買ったのです。

 ねごととGacharic Spinの対バンでした。対盤というと、弐瓶勉のバイオメガに出てきたサイボーグイケメンの呟いた「対盤だと・・・」というセリフを思い出しますが、要するに1つのライブに2組のバンドが出ることです。

 どちらも良く知らないバンドでした。しかし、たとえ曲を知らなくても生の演奏というのは楽しいものですね。ねごとは柔らかめな旋律のロックで、ロングの髪を揺らす、ギターがかっこよかったです。やはりロックンロールはロン毛に限ります。

 Gacharic Spinは、激しいパフォーマンスと音量のロックバンドで、注目点は何といっても光るおっぱいでしょう。休憩時間、通路におっぱいとマジックで書かれた猟奇的なダンボール箱が置いてあるのを見掛け、何故?と思っていたのですが、彼女らの登場で謎は明かされました。おっぱいに渦巻き状の電飾を付けた変態がドラムを叩いていたのです。元気いっぱいでとっても愉快な人たちでした。あのダンボールの中身がバラバラ死体の一部でなくて良かった。

 そんなライブ会場。ガールズバンドのライブだからか、観客は9割方男性だったのですが、僅かながらに女性もいました。その中に一人、ニット帽をかぶった可愛い子が。好意的な目線で私を見る彼女と、何度か目が合ったのですが、声は掛けられませんでした。(妄想ではありません。)結局彼女にはスミノフアイスを持った男が話しかけていました。スミノフアイスに対して敵意はありませんが、スミノフと書くとその男がいやらしく見えるかと思い書きました。あの赤色ロゴの白い瓶を持って得意気に・・・!

 代わりに、私はお金を払って緑色のTシャツを持ち帰りました。つまりグッズを購入しました。

 折角運動したので、ラムチョップを焼いて、牛乳を飲んで寝ました。これで翌朝には筋肉ムキムキ細マッチョです。とっても充実した一日でした。

 ということで、私は楽しく生きておりますので、お礼の合コンは開催していただかなくて結構です。


期待の新入社員G様

                                   孤独を愛するS

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