明らかにヤバイ人の手紙
1月20日
今日何日だっけ?もう二十日かあ、早いなあとは、隣の課長の言葉です。今日は暖かく、自転車日和でした。何だかいつも自転車と手紙と女性の話ばかりですね。他に書いたことと言えば時候の挨拶位でしょうか。
今日、会社のふんわりとしたタイヤのママチャリに乗って、市役所まで行きました。ママチャリに乗るのは久しぶりです。なんて柔らかいサドルでしょう。前傾姿勢じゃないから視線も高い。なんだか、ぷにゅっとした乗り心地です。うららかな日差しにぷにゅっとした自転車に乗って私は夢見心地です。会社生活で一番楽しかったかもしれません!
ぶにゅっとした乗り心地の自転車の旅を終えて、倉庫に帰ってきた私は、ちょうど入れ違えに美女が出てくるのを見ました。かの美女は、私と同じくらいの背で、スタイルも良く、ボブの髪の毛、広めの額。小学校の頃、クラスの好きだった女の子もポニーテールのおでこちゃんでした。そのときはボブなんて超ダサい髪形でした。おかっぱ。今では私もボブ。好きな子の髪形もボブ。そう特別な存在なのです。
しかし、まだ彼女とはまともに話したことがありません。むしろ避けられている気がします。席が近いので、私はパソコン越しに、ついちらちら見てしまうのですが、時々彼女もこちらを見ているようです。気持ち悪いと思われていないでしょうか。ああ、不安です。そうであれば、何か一言交わして、誤解を解きたいものです。
まずは給湯室で、ほかのおばさんたちと一緒に会話に加われないかと思っています。
私はそんなに悪い人ではありませんよ。とても善良で、繊細な人です。善良な人が悪いことをするから、世の中恐ろしいのですけれど、それでも私はあなたを傷つけません。
それを分かってもらうには、まずは会話を。
ああ、どうして、知らぬ人でもないのに、職場の同僚と会話ができないのか!1m以内に近づくと、なんだか変な空気になってしまいます。私も彼女も表情筋が強張っています。
その理由が僕の美しさゆえであったなら!!!
なんだか書けば書くほど、この手紙がストーカーであることの告白文みたいになっていくのを感じます。この文面をメールにして送るだけで、誰でも立ちどころに逮捕されてしまいます。文章とは何と恐ろしい力を持つものなのでしょう。
ああ、なんだか彼女のことで頭を悩ませるのにも疲れてしまいました。唯一の救いは、彼女には毎日会えるということです。悲しいことは、それでも、なお会社には行きたくないということです。
それではこの辺で。女のことを考えるのも疲れたので、僕だけのオリジナルのズゴックのことでも考えて眠ることにします。
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ガノタにしてストーカーS