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幸運故に転生

2話目。感想やお気に入り登録が増えるように頑張ります。

 気がついたら、何もない白い空間に立っていた。

「ここは……確か僕は車に轢かれて……」

 そう、僕は車に轢かれて死んだはずだ。

 僕の体にはコンクリートに叩きつけられたあの嫌な感触が確かにまだ残っていた。


「気がついたかい?少年」

 

 と、後ろから声がした。

 振り向くとそこには一人の美しい女性が立っていた。

 彼女は、日本ではまず見かけられないような金髪碧目で、その美貌は美しいとか、綺麗とかありふれた言葉では言い表せないような、凶暴なまでの美しさだった。


「あなたは……いったい?」

 彼女は少し考えるように言う。


「私は……そうね、あなたがいた世界では神って呼ばれてるわ」

 その言葉だけで僕は自分が置かれている状況を理解した。

 彼女のもはや非現実的とも言える美しさと彼女の持つ圧倒的なまでのオーラが無ければ信じなかったかもしれない。


「異世界転移……いえ、転生ですか?」

 

 すると彼女は驚いたように目を見開き、そしてニコリと笑った。

 そんな細かな一動作でさえも美しく、僕は完全に見蕩れてしまっていた。


「うん、そうだね、君はあっちの世界で死んでしまった。だから転生が正しいかな……うん」

 

 少し思案するように首を傾げて納得したように笑う。

 そんな細かな一動作でさえも美しく、僕は完全に(ry

 

「でも……何でよりによってこの僕が?」

 と問うと、彼女は少し不思議そうな顔をする。

 

「君は面白いことを言うね……君が願ったんじゃないか。もし次があるなら幸運になりたい、と」

 彼女は本当に愉快そうに続ける。


「だから私は、君に次の人生をあげる事にしたよ。君は生まれ変わったら幸運の申し子、神に愛されたもの、とか言われる程、運が良い人になるんだ。前世の不運を帳消しにしてなお、お釣りが来るぐらい幸運にね」

 

 次の人生……か、確かに僕は幸運になれれば、と祈った。

 でもまさか本当に生まれ変われるとは思っていなかった。

 なんせ僕は宗教とかには入っていなかったし、生まれ変わりとかを信じるほどピュアでクリアな心を持っているわけではなかったからだ。

 僕は考える。

 もし次の人生を普通に送れるならどんなに嬉しいことか。

 神様の言うことが本当なら来世の僕は、道で怖そうなお兄さんにぶつかって持っていたジュースをぶちまけたり(殴られた)廊下ですれ違った女の子の胸を転んだ勢いで揉んだり(やっぱり殴られた)しないはずだ。

 (何それ、すごい嬉しい。てか僕不運すぎるだろ。でも女の子の胸は不運じゃないかも、いやそれから僕を見るクラスの女子の目は厳しかったからやっぱり不運か……)


「あまり反応が良くないな……もしかして嬉しくない?これは不運な人生を送ってきた君へのプレゼントなのに……」

 

 僕が自分の世界に入っていたのを悩んでいるように感じたのだろうか。

 子供のようなしょげた声で言った。


「嬉しいです……だけど僕だけが生き返ったり、次の人生を送れるのはちょっとほかの人に悪いかな……って」


「それはさっき言っただろう。君は前世であんなに辛い目にあったんだ。少しぐらい良い思いをしたっていいんだよ。もう少し楽に考えて、やった!ラッキー!って素直に喜びなよ」

 

 聞いているものを幸せにするような優しい声だった。 

 

 僕は問う。

「僕は来世で幸せになりますか?」

 彼女は答える。


「私が保証するよ」


「神様が言うんだから間違いないですね」 

 

「そうだね……だから安心して行ってきなよ。君には私がついているんだから」

 僕の周りが白く光り始める。

 どうやらもう時間らしい。


「最後に名前を聞いてもいいですか?」

 大事なことを聞いていないと思い、僕は神様に聞く。


「私の名前はティオ。運命の神ティオ。幸せになりなよ……少年」


「はい。神様との約束です」


 その直後、僕の周りを強い光が包みそして何も見えなくなった。

 

 






 

 


 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

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