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プロローグ

戦ったりするので、多少(ごく、まれに)グロテスクになるかもしれません。

世界は誰かが見ている夢である。



その言葉は真実なのか、嘘なのか、誰にも分からない。

でも、この世界は確実に今、ここに、存在している。

私たちは確実に今、ここに、息づいている。

それぞれの視点で、世界は今も、展開されている。







杉村疾風すぎむらハヤテは、飛空挺の中で淡い夢を見ていた。

夜神衣舞やがみイヴは、施設のベッドに寝かされていた。

武藤むとうヒカリは、程度の低すぎる授業にヒマを持て余していた。

村越忍むらこしシノブは、冷ややかな目で黒板を見つめていた。

合田幸あいだサチは、静かに近くの席の生徒と談笑していた。

早乙女優利さおとめユーリは、教科書をひたすら読み続けていた。







世界はここから始まった。







『・・・へ到着致しました。御降りの際には、お荷物の確認等を・・・』

ハヤテは、ゆっくりと目を開けた。どうやら目的地へ到着したようだ。軽く瞬きをして眠気を覚ますと、荷物を抱えて出口へと向かった。降りる際に、新たな生活の始まりを思いつつ、ゆっくり、一歩を踏み出した。

何のために、ここに来たのか。それは、自分でもよく分からなかった。しかし、来なければ法律に違反することになる。だから来たのだろうか。

なぜ、法律に違反するのか。それは以前ハヤテ宛てに届いた手紙で分かることだった。


ハヤテは近くに配置されていたベンチに腰掛けると、ズボンのポケットからくしゃくしゃになった封筒を取り出した。何回も読み返した内容に、再度目を通す。

(以下、その内容)

『杉村疾風殿

この度、あなたが“世界天使殲滅機関 戦闘科 直接部隊”に附属されましたことを、ここに改めてお伝え致します。先日直接お話させていただいたように、あなたは本部に来ていただき、任務を遂行していただきます。

再度確認させていただきますが、これは世界に直結する国の仕事です。あなたにこれを放棄する権限はありません。ご理解ください。

日時は同封させていただいたチケットに記載されていますのでご確認ください。尚、到着時にはその場に迎えに行かせていただくので、その場にて待機していてください。

任務については本部にて、詳しくお伝えさせていただきます。

無事に、お会いできることを願っております。

                     世界天使殲滅機関 戦闘科長 入谷 印』


読み終えた手紙を封筒にしまい再びポケットに戻すと、軽くため息をついた。自分が具体的に何をするかも分からない。ただ“義務”として来ただけだ。自分に課せられた課題に不安を持ちつつ、ケータイの音楽機能を起動させ、イアホンを耳にあてた。

ハヤテは基本的に、要領の良い人間である。多少の不安は持ちつつも、だいたいは受け止めることができる。そのうちに、今回も、なんとかなるだろう、と感じつつあった。


そうして音楽を聴きつつ目を瞑っているうち、今朝の映像が脳裏によみがえってきた。

名残惜しそうに手を振る友人、何かを叫ぶ幼馴染み。

(あいつ、あの時なんて言ってたのかな・・・)

考えに、浸り始めたころだった。

「杉村、疾風君ね?」

イアホンをとりつつ顔をあげると、目の前に一人の女性が立っていた。歳は20代後半ほどの、美人さんである。

「・・・はい。お久しぶりです、・・・入谷さん?」

「覚えてくれたのね、嬉しいわ!」

入谷はにっこりと微笑んだ。

「もう一人の・・・橘さんは、いないんですね」

「ん。迎えには2人もいらないもの。・・・じゃあ早速だけど、本部に行きましょうか」

「・・・はい」


2人が飛空挺乗り場から出ると、入谷はタクシーをひろい、本部へ向かわせた。

窓に映る見知らぬ景色を、ハヤテはじっと見つめていた。


これから物語が展開していきます。次回も読んでいただけたら光栄です。

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