怒り
バカな真似は止めさせないと!美希は王宮を走る。
罪人の処刑を見たことがある、周りは私に見せないようにしていたみたいだけどたまに見えてしまうのだ、だから人の死には耐性があった筈なのに、なのにあの人の勇の記憶を自分の記憶として見たときは人の死は酷く悲しく嫌な気持ちになった。
「謁見の間ですね!?」
隣で私の速さに合わせて走ってくれる優衣に聞く。
「はい、そうです。大丈夫ですか?」
「大丈夫です」
少し胸が苦しい、喉が痛く呼吸がしにくいけど、勇を助けないと。
勇の記憶を見た私ですらああなんですもの勇は……それ以上の絶望を味わっているはずです。
勇の記憶は平和で暖かく自分の記憶ではないというのにあんなにも人の死に感情を動かされてしまった。
途中何人かの使用人と衛兵にあったが無視して走り続ける。
謁見の間の扉を勢いよく開ける。
お父さん、あの醜い結婚相手、上級貴族に兵士そして兵に髪を掴まされ白銀の閃光が首に当たりそうな勇、その景色を見た瞬間、頭が真っ白になった。
私の勇になんて事をするの!!それは激怒、今まで一度たりとも感じたことが無い程の怒りが私の疲れた体を動かす。
「お待ちなさい!!」
その声は噂に聞くドラゴンの咆哮の如く謁見の間に響き渡る。
謁見の間に居た全員が私を見る、勇の首は繋がったまま、白銀色の剣は勇の首に着けられ止まっていた、勇の首から鮮やかな赤色の血が少し流れる。
みんなが見ているがそんなのどうでもいい、私は勇の元に走り寄り抱きしめる。
暖かい、勇の会ったのはほんの少し前だけどなぜか私は勇の存在が愛おしくそして暖かい気持ちになるのだ。
「何を!?」
評価、感想などをくれるとうれしいです。
なるべく早く次のを書く努力はします。