整理
勇は名乗りながら今いる場所を見る此処はこの少女の部屋という事が普通に分かっていた。
勇の記憶にはこの建物の構図から目の前の人物がどういう存在という事があった。
「あの……私は美希と言います」
目の前の綺麗な少女がそう名乗る、それに隣に居る少女は困惑しながら強い眼差しで勇を睨みながら名乗ってくれる。
「私は優衣だ」
簡素で冷たい印象を与える自己紹介に勇はムッとするが何も言わないことにした。
「ところでお前は何なんだ?事の次第には……」
優衣が勇にそう言ってきた、その言葉を聞いた瞬間背中を鋭利な刃物で裂かれるかのような嫌なそして恐ろしい感覚になる。
「優衣」
美希のこの静かな一言は誰しも有無を言わせない何かがあった。
それを聞いた優衣は罰が悪そうな顔になり黙り込む。
「勇さん、貴男の事を聞いても?」
優雅な一文字一文字の発する声が高貴なそして優雅な衣を纏っているかのように勇の心に響き一切の漏れもなく染み渡る。
「……えっと」
勇は記憶を探る、朝は目覚まし時計で起き制服に着替えいつも通り食パンを食べ学校に向かう。
学校?勇は学校での出来事を思い出したくなかった、でも無理やり思い出すように記憶の糸をたどたどしく手繰る。
真っ赤な大地の上に元人間だった肉片そして学校を形作っていたコンクリの瓦礫その大地で人間らしき存在が獰猛に笑いその手には友達だった存在の首。
そこまで思い出して吐きそうになるが必死に堪える。
「いっ!いやぁぁぁああああ」
吐き気と同時に美希が悲鳴を上げる、それは尋常ではない悲鳴だった。まるで酷い物を見たように、足を手を捥げられている人間のように悲鳴を発する。
「美希!!」
優衣が美希の体を揺する、美希の顔には絶望そして苦しみがあった。
「いやああああ」
美希の声に力が無くなる頃、部屋に数人の大人が入り込んでくる。
「貴様、姫様に何をした!!」
優衣が鬼の血相で勇に剣を向ける。鋭い光を発しながら勇を捕えてぶれない剣先、それを見て勇は確信する。
少しでも動いたら殺される!!
例え瞬きをしても殺されると本能が言い瞬きすらできない。
「どういう状況だ!!」
入ってきた大人達が放心状態の美希と剣を向ける優衣そして優衣の剣先の先に居る勇に視線を移動させる。
大人たちは理解して兵士が静かに勇を囲む。
「その者を捕えろ!!」
そう言うと同時に勇の頭にピリッという痛みが走り暗転した。
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